模擬社会における個人と社会の関係について
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概要
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本論文は,個人と全体社会との関係を明らかにするために,まず個人と社会が論じられる視点を提示し,次に個人と社会の関係を実証的に検討するために用いた模擬社会ゲーム(SIMulated SOCiety; W. A. Gamson, 1978, 1991)のもつ利点を指摘し,最後にこのゲームにおいて実施した3つの調査を基に模擬社会における個人と社会の関係について論及している。実施された調査は次の3つについてである。1)人々が期待する理想社会とゲーム参加者が自ら行った模擬社会に対する評価について 2)模擬社会における各集団間の貢献度からみた関係について 3)模擬社会における各集団に対する心理的な評価について 調査結果から,人々が理想として描いた全体社会をつくることは極めて困難であること,全体社会の秩序のなさは集団間関係の調整の失敗が反映されていること,全体社会と個人は集団間の関係を通して捉えられていることが明らかにされた。このことは,個人と社会の関係は,集団を介し集団相互の関係に基づいて成立していることを示唆している。また,全体社会は各集団に対する価値付与的な役割を果し,それが個人の社会的特性になっていると思われる。
- 摂南大学の論文
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