コンピュータ・グラフィックによる道路路線設計 : 都市周辺山間地における高速道路開発の可能性
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概要
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日本のように、人口稠密で山地の面積比率が高い国では、一つの都市域の道路網をとりあげた場合、その周辺となる高位標高の末端路線は、昔、歩行によって切り開かれた山道そのものといえる。一方、低位標高の平野部では、路線の直線化、集中化、また市街化地域の区画形成といった都市化への対応が進んだ。ここでとりあげる都市周辺の山間地域では、過疎化が激しい今日において、住民の就職、教育医療、老齢化、営農等の問題で、この山地道路が果たしている役割は再考されるべきである。ここでは、その集落の存亡が、山地道路の維持管理にかかっているといえるし、一方、これは地元でのさゝやかな都市化への願望ともいえる。都市化とは、今や全国一律に地域社会が求める近代化への基本条件であり、道路工はその都市化への第一歩の手段といえる。しかし、歴史的必然とされる今日の過疎化による山地集落の消滅は、かならずしも今後の都市化地域の拡大・発展につながることを意味しない。それは、何十年前かの日本の行政で、内地の村道を土橋のまゝ放置し、外地では大規模な都市開発を行ったと同じ発想ではないか。そこでは開発とは外部への拡大・発展であり、内部への、自己資産の充実が本来の発展であることが忘れられていた。残された開発として、これらの山間地道路を、幾つかの町村を越えて連絡、一本かする、この報告でいう"高速道路"を計画するとことも、その自己資産充実の一つである。それによって都市周辺平野部の交通条件を、そのまま山間地域に移植できることの可能性が探究される。著者は、これからの地方都市の持続的な拡大と発展は、道路開発による周辺地域の土地利用の拡大にかかっているとするものであり、そのための路線計画立案の論理を探究している。今日の道路行政は、中央主導の縦割り行政によって特別会計といわれる予算枠を設定し、その地方への配分の多寡を争ってきたものであり、地域自身が考えるべき、公的資産形成を目的とする本来の道路投資の原則を忘れている。このような意味で、少なくとも県単位、主要都市単位での"道路計画マスタープラン"の作成を自ら行うこと、その手法を検討することが緊急・不可欠と考えられる。
- 崇城大学の論文
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