遊離基的シラン還元におけるチオールによる極性転換触媒
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概要
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アルキルラジカルは一般に求核性であるため,シラン類からの水素引き抜き反応は速度が遅く,この段階が多くのシランを用いる還元反応の律速段階となっている。最近Robertsらは,シラン還元の反応系中に触媒量のチオール類を存在させることによって反応が速やかに進行することを見い出し,チオール類が極性転換触媒(Polarity Reversal Catalyst, PRC)として作用していることを明らかにした。しかし,それらの反応においては,特殊なラジカル開始剤を用いること,反応溶媒が限定されることなど反応条件に制約があった。本研究では反応条件を詳細に検討することにより,容易に入手可能なAIBNやBPOを開始剤として用い,ラジカル反応の溶媒として一般に用いられるベンゼン中,有機ハロゲン化物やアルコール類のシランによる還元反応を実現した。また光学活性なチオールをPRCとして用いるラセミ体のシランの速度論的光学分割およびプロキラルな水素の立体選択的引き抜き反応も検討した。
- 1998-03-30
著者
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大場 真
東海大学開発工学部素材工学科
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西山 幸三郎
東海大学開発工学部素材工学科
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今田 進也
Department Of Material Science And Technology School Of High-technology For Human Welfare Tokai Univ
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大場 真
Department of Material Science and Technology, School of High-Technology for Human Welfare, Tokai Un
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西山 幸三郎
Department of Material Science and Technology, School of High-Technology for Human Welfare, Tokai Un
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西山 幸三郎
Department Of Material Science & Technology School Of High-technology For Human Welfare Tokai Un
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