ケイ素原子を含むイソシアナートとN-ベンジリデンアニリンとの反応 : ウレアおよびビスウレアの生成と1,3-ジアゼチジン-2-オンの重要性
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概要
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種々の官能基を有する有機ケイ素化合物は有用な合成試薬として広く注目を浴びているが,イソシアナト基,イソチオシアナト基を持つケイ素化合物については反応性に関する二,三の報告があるのみである。一方,1,3-ジアゼチン-2-オン誘導体の合成の試みは種々報告されているが,生成物の構造が正確な報告は全くなかった。唯一,HaleとLangeによる方法が構造的に正しい生成物を与えるとされてきたが,この方法は特殊で我々は再現することができなかった。そこで,C=N二重結合とイソシアナト基の[2+2]付加反応を利用する一般的なジアゼチジノンの合成手法の確立および,我々の最近の興味の一環として,これらケイ素化合物の反応性を検討する目的からトリメチルシリルイソシアナート,トリメチルシリルメチルイソシアナートとシッフ塩基の反応を行った。比較のためにフェニルイソシアナートとの反応も行った。シッフ塩基とシリルイソシアナートやシリルメチルイソシアナートとの反応からは1,4-ジアリル-1,3-ジアゼチジン-2-オンや3-アルキル-1,4-ジアリル-1,3-ジアゼチジン-2-オンは単離できず,ウレアやビスウレアが単離された。シッフ塩基の置換基がジメチルアミノ基の場合はウレアとともにρ-ジメチルアミノ-β-ニトロスチレンを与えた。これらを含めた実験結果からシッフ塩基とイソシアナートの反応機構を推定したところ,予想通り[2+2]付加反応が起こり1,3-ジアゼチジン-2-オン誘導体を初期生成物として与えるが,この四員環は置換基が二個であるか三個でも一個はアルキル基であるために不安定であり(既知の1,3-ジアゼチジン-2-オンは置換基が三個ともアリール基の場合のみである)後続生成物として処理中又は稀に反応中に分解生成物としてウレアを与えたと説明できた。ビスウレアはウレアとアルデヒドの縮合生成物であることも確かめられた。
- 東海大学の論文
- 1992-03-30
著者
-
西山 幸三郎
Department Of Material Science & Technology School Of High-technology For Human Welfare Tokai Un
-
察 美穂
Department of Chemistry, Tokyo Metropolitan University
-
察 美穂
Department Of Chemistry Tokyo Metropolitan University
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