重水素化XIV族金属化合物を用いる有機化合物の位置・立体選択的重水素化反応
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概要
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多官能性有機化合物の選択的還元反応は有機合成化学の分野においては極めて重要な反応の一つである。最近,我々はアルコールの遊離基的脱酸素反応やハロゲン化合物の還元,またそれらの選択的重水素化に興味を持ち,研究を行ってきた。これらの反応にはスズ化合物を使用することが古くから知られているが,その毒性や入手の困難さを考慮すると他の還元剤の開発が必須である。ケイ素化合物も還元剤として使用できるが,重水素化剤としては良好とは言い難い。そこで,本論文では新たなケイ素,ゲルマニウム,スズの重水素化物を用いていくつかの反応についての位置,立体選択的重水素化を系統的に研究した結果について報告する。一般的に,立体選択的重水素化などはでき得る限り低い温度での反応が好ましいため,反応性に富む重水素化剤が期待される。本論文においては,重水素化率や化学収率なども考慮し,分子内に二個の重水素を持つため有効且つ経済的重水素化剤と考えられる重水素化XIV族金属化合物としてビス(トリメチルシリル)二重水素化シラン(SID)およびジフェニル二重水素化ゲルマン(GED)を合成した。スズ化合物は原料の入手しやすさからトリブチル重水素化スズ(SND)を用いた。また,反応基質としては,1-ブロモドデカン(1),シクロドデシルN-フェニルチオキソカルバマート(2),シクロドデシル4-フルオロフェニルチオキソカルボナート(3),および3-グルコフラノシルN-フェニルチオキソカルバマート(4)を選んだ。反応の結果は,1や2との反応では化学収率は良好であったが,重水素導入率には差があり,ケイ素化合物を用いた場合が特に好ましくなかった。分子内に活性水素を含まない3や4においては,ケイ素化合物でも比較的良好であったが,ゲルマニウムやスズ化合物と比べると若干悪かった。立体選択性については,金属上の置換基の嵩高さに支配されているようで今後の分子設計に示唆的であった。以上の結果より,スズ,ゲルマニウム化合物は効率的な重水素化剤であることが判明したが,その毒性や入手の困難さを考慮すると新規のケイ素化合物の分子設計は重要であり,その研究を継続中である。
- 東海大学の論文
- 1996-03-30
著者
-
大場 真
東海大学開発工学部素材工学科
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西山 幸三郎
東海大学開発工学部素材工学科
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大場 真
Department of Material Science and Technology, School of High-Technology for Human Welfare, Tokai Un
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西山 幸三郎
Department of Material Science and Technology, School of High-Technology for Human Welfare, Tokai Un
-
横山 記央
Department of Material Science & Technology, School of High-technology for Human Welfare Tokai Unive
-
水島 みを
Department of Material Science & Technology, School of High-technology for Human Welfare Tokai Unive
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西山 幸三郎
Department Of Material Science & Technology School Of High-technology For Human Welfare Tokai Un
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水島 みを
Department Of Material Science & Technology School Of High-technology For Human Welfare Tokai Un
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横山 記央
Department Of Material Science & Technology School Of High-technology For Human Welfare Tokai Un
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