9,10-ジヒドロ-9-シラアントラセン誘導体の自動酸化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
π共役系とケイ素原子を併せ持つ有機化合物は特異な物性,反応性を有することから,新しい機能性物質として興味を持たれている。最近,我々はジヒドロアントラセン骨格の9位または9,10位にケイ素原子を含むシラアントラセン誘導体に注目し,それらの化合物の合成および反応性に関する研究を行ってきた。今回,我々は9-シラアントラセン誘導体が穏和な条件下(45℃)で容易に自動酸化を受け,相当するヒドロペルオキシドを与えることを見いだしたので報告する。一般にベンジル位の自動酸化は金属触媒の存在下もしくは塩基性条件下で行われ,反応は比較的高温を要することが多い。事実,ジフェニルメタン,クメン,フルオレンは本反応条件下では自動酸化を受けない。従って,上記の結果は,ジフェニルメタンの2および2'位をケイ素原子で架橋することによりベンジル位水素が遊離基的に脱離しやすくなっていることを示している。ケイ素原子の効果を調べるため9-シラアントラセン誘導体の炭素アナログである9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアントラセンの合成および自動酸化も検討した。反応の詳細について言及する。
- 東海大学の論文
- 1997-03-30
著者
-
大場 真
東海大学開発工学部素材工学科
-
西山 幸三郎
東海大学開発工学部素材工学科
-
大場 真
Department of Material Science and Technology, School of High-Technology for Human Welfare, Tokai Un
-
西山 幸三郎
Department of Material Science and Technology, School of High-Technology for Human Welfare, Tokai Un
-
山中 優
Department of Material Science and Technology, School of High-Technology for Human Welfare, Tokai Un
-
山中 優
Department Of Material Science And Technology School Of High-technology For Human Welfare Tokai Univ
-
西山 幸三郎
Department Of Material Science & Technology School Of High-technology For Human Welfare Tokai Un
関連論文
- 脂肪族および芳香族水酸基からの脱酸素反応
- 5-ハロゲノテトラゾールの合成とフェノール性水酸基の脱酸素への応用
- 遊離基的シラン還元におけるチオールによる極性転換触媒
- 不飽和オルトピログルタミン酸エステルを用いる非タンパク性アミノ酸の立体選択的合成
- シリルイソシアナート,イソチオシアナートの反応性
- 液相法によるトリメトキシシランの直接合成
- 1Q28 NMRによるスピン結合定数の精密解析に基づいた蛋白質側鎖の状態解析
- 還元的重水素化反応を用いる重水素標識アミノ酸の合成研究
- 重水素標識グルタミン酸の立体選択的合成
- 9,10-ジヒドロ-9-シラアントラセン誘導体の自動酸化
- 重水素化XIV族金属化合物を用いる有機化合物の位置・立体選択的重水素化反応
- 官能基を持つ有機化合物の位置選択的重水素化
- ケイ素原子を含むイソシアナートとN-ベンジリデンアニリンとの反応 : ウレアおよびビスウレアの生成と1,3-ジアゼチジン-2-オンの重要性