韓国の財閥企業グループ : その特徴と経済危機下におけるマネジメント
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概要
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韓国の財閥企業は韓国経済の発展においても,97年以降の経済危機においてもその中心的な役割を果たしてきた。その財閥企業の発展は朴政権時代以降の政府主導型成長経済政策が大きな契機になった。本稿では上位財閥グループのうち,三星(Samsung)グループ,現代(Hyundai)グループ,LGグループをとりあげ,財閥企業のマネジメントの特徴を,上記の政府主導型成長経済政策との関連,97年以降の経済危機における政府・IMFの政策との関連において考察している。従来から指摘されている財閥企業の問題点として,トップダウン・オーナー独裁型で不透明なマネジメント,政府の政策に呼応するための収益性軽視と高い負債比率,関連の薄い分野へ多く進出するタコ足的な多角化・経営戦略,裾野産業として未成熟な中小企業群,赤字体質の成長経済などが挙げられる。これに対して各グループは,97年以降の経済危機に対する対処策として大規模なリストラクチャリング計画を発表し,実施に移し始めている。今後問題となるのは,政府・IMF主導型ではなく,それぞれのグループが如何なる戦略を構築していくかである。そのためにまずグループ全体の戦略を構築する公式な組織の必要性が挙げられる。そしてリストラクチャリングに伴う解雇をいかに回避し,雇用維持を達成するかが重要となる。いずれも政府・IMF主導型のいわゆるグローバルスタンダードを盲目的に採用せず,自らの戦略を明確化するという意味を持っている。
- 慶應義塾大学の論文
- 1998-12-25
著者
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