アメリカ・ニューイングランド地域における日系企業のケース : 現地法人4社のトップへのインタビュー
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概要
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筆者は1997年前半,Brown University = Keio University Exchange Programにより,アメリカ東海岸ロードアイランド州プロビデンスに滞在する機会を得,その間,日系企業を数社訪問し,インタビュー調査を行なった。本稿はその現地トップヘのインタビューを中心としたケースである。東レプラスチックス(アメリカ)のケースでは,世界各地での適地生産・適地販売をし,現地ニーズに的確に応えるグローバルオペレーション戦略,評点化制・目標管理制などの業績主義と日本的な家族的雰囲気を融合させた人事管理,良き企業市民として活動する企業の社会性の問題等を論じている。オベロンソフトウェアのケースでは,製造業と異なったソフトウェアの研究開発マジメントと戦略の関係,自分のボスの能力によって自らのポストを評価するという米国特有の就職観に対応する人材確保の問題,採用後の処遇についても実力主義で各人が納得する評価システムを柱とする人事評価の問題等を論じている。JEOL USA, Inc.のケースでは,核となる現地アメリカ人を育て海外子会社の独立性を高める海外現地化志向,現地化のために重要な地域貢献・良き企業市民としての企業行動,年功・大部屋方式・根回しなど日本的経営の特徴を如何に現地化したアメリカ人の会社に根づかせて行くかというJEOL式経営の問題等を論じている。BTM Capital Corporationのケースでは,ROEにリンクした従業員のインセンティブシステム,顕在的な成果だけでなく失敗・学習をも評価しようとする加点主義の人事評価,各自の意志・選択の結果としての終身雇用制度,good causeに関してはコーポレートの世界とプライドベートの世界がfuzzyであってもかまわないとする企業と社会の関係の問題等を論じている。
- 1997-12-25
著者
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