富栄養化の進んだ池における溶存有機化合物並に尿素の季節変化及び日周変化
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概要
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溶存有機能炭素(DOC),窒素(DON),リン(DOP)及び尿素の季節変化と日周変化を富栄養化の進んだ小さな池に設置した円柱の内外において測定した.DOC : DON : DOP の原子比は,DONとDOPの現存量の季節変化がより大きいために,春は780:20: 1,または秋は2100 : 33 : 1 と大きく変動した.尿素能炭素のDOC中に占める割合は0.2%から6.3%,尿素胎窒素のDON中に占める割合は2%から39%であり,尿素はDONを構成する主要な化合物の1つであった.尿素の現存量の低い夏と秋にはこれらの割合は低かった.これは尿素がDONの内で変化しやすい化合物であることを示唆するものと考えられる.日周観測は植物プランクトンの現存量が高く,また顕著な化学成層が認められた8月に行った.DOCとDOPには明らかな日周変化はみられなかったが,DONの現存量は円柱の外側では深夜から側にかはて高く,内側では夜に低かった.また尿素の現存量の日周変化には周期性が認められなかった.日周観測時に,溶存化合物の濃度は下層より上層で高いという傾向が認められた.尿素には,中層の値が上層や下層の値よりも高いという特徴のある鉛直分布がみられた.
- 名古屋女子大学の論文
- 1986-03-01
著者
-
石田 典子
名古屋女子大学
-
三田村 緒佐武
Osaka Kyoiku University
-
三田村 緒左武
School Of Enviromental Science University Of Shiga Prefecture
-
三田村 緒佐武
School Of Enviromental Science University Of Shiga Prefecture
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