近世前期南九州地域における門の構造と展開 : 日向国臼杵郡高千穂郷を対象に
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概要
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中世期以来,南九州地域に広くみられた門は,村落結合や百姓の日常生活単位であり,かつ領主の年貢賦課単位であった。その門は,近世期にはいり地域の領主権力によって様々な体制や制度のもとに編成されていった。日向国日杵郡山間部の門は慶長期には家父長制的経営体であると同時に年貢の賦課単位として位置づけられていたが,その後新領主有馬氏により新地開発と収奪強化が強行されヽまた自然災害による飢饉もあり在地構造は大きく変容する。それに伴い門も変化をみせ,特に寛文-延宝期を境に村々では門の再編成が進められる・高千穂郷岩戸村では慶長期に六四門であったが,一七世紀末には編成・消滅の結果六六門に増加すると同時に四組に編成され,この組が年貢賦課単位となっていく。門の編成は地域によって異なり,数門が組に編成されるほかに周辺門と併合して一門となったり,また単独の門のまま存続していく門もみられた。新たに再編成された門は,以後領主の年貢賦課単位として,また村内では小村的な百姓の生産・生活の基本単位としてなっていくことを明らかにした。
- 宮崎公立大学の論文
- 2003-03-20
著者
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