<論文>OPIにおける英語話者の「もの」「こと」の使用と習得
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
形式名詞の「もの」「こと」は,日本語の文を生成する際,非常に多く使用されるが,その使用法は多岐にわたり,習得することは容易であるとは言えない。本稿では英語話者のOPI(oral proficiency interview)データを用い,形式名詞「もの」「こと」の各用法について自然発話での使用状況を調査し,その習得について考察し,習得順序を探った。その上で,坪根(2002)の韓国語話者の結果とも比較を行った。調査の結果,「もの」は中級以降,使用数,種類がほぼコンスタントに増えていった。一方,「こと」は中級,上級では伸びが見られたが,上級から超級の間には大きな伸びは見られなかった。また,各用法の正用者数の伸びから,中級は形式名詞,名詞化の用法といった構文的に必要な機能が習得される段階,上級・超級は対象を直接指し示さない用法や,特別なニュアンスを示す用法が徐々に習得されていく段階であると言える。各レベルの正用者の割合を基に本稿で提案した習得順序は,(1)もの形式名詞,こと形式名詞→(2)たことがある→(3)Nのこと→(4)ということ一般化,ということ内容,であった。韓国語話者との比較では,韓国語話者の方が早い段階で「もの」「こと」を使用し始め,英語話者の方は若干遅れて使用が大きく広がるが,その後の伸びは韓国語話者の方が大きいということが推察された。また,習得順序についても若干の違いが見られた。
- 国際基督教大学の論文
- 2003-03-31
著者
関連論文
- 教師の実践的思考を探る上でのビリーフ質問紙調査の可能性と課題 : 日本語教育における教師の実践的思考に関する研究(3)
- OPIにおける中国語話者の「の」の使用状況
- 学習者から見た効果的な語彙の指導法・学習法--アンケート結果より (第9回小出記念日本語教育研究会より)
- 中級の作文教育 : 意識調査,ワープロ・電子メール利用と作文の分析を通して考える
- 教師のビリーフ研究におけるPAC分析活用の可能性と留意点--HALBAUとSPSSによる分析結果の相違についての考察から
- 日本語教育における教師の実践的思考に関する研究(1)新人教師とベテラン教師の授業観察後のレポートの比較より
- 日本語教育における教師の実践的思考に関する研究(2) : 新人・ベテラン教師の授業観察時のプロトコルと観察後のレポートの比較より
- ノンネイティブ日本語教師に対する「いい日本語教師」に関するPAC分析--その結果およびPAC分析使用の意義と留意点 (第38回[お茶の水女子大学]日本言語文化学研究会発表要旨)
- コンケン大学教育学部日本語教育プログラムにおけるカリキュラム
- OPIにおける中国語話者の「もの」「こと」の使用とその正用順序
- OPIにおける英語話者の「もの」「こと」の使用と習得
- 上級日本語(日本語教育 報告-この10年-,日本語教育50周年記念特集)
- OPIにおける英語話者の「の」の使用と習得
- OPIにおける韓国語話者の「もの」「こと」の使用と習得
- 「ことだ」に関する一考察 : そのモダリティー性を探る
- 「ことだ」に関する一考察 : そのモダリティ性を探る
- OPIにおける韓国語話者の『の』の使用と習得
- 日本語教育の読解教材における「こと」の分析
- ノンネイティブ新人日本語教師にとっての研修の意義 -PAC分析によるタイ人新人日本語教師のビリーフ調査から-
- PAC分析と質問紙調査併用によるビリーフ研究 : あるタイ人日本語教師の事例より
- PAC分析を日本語非母語話者に日本語で実施する際の留意点 : タイ人新人日本語教師へのPAC分析から
- タイ人日本語学習者の「の」の使用 : 2年間の縦断的調査より
- 第二言語としての日本語小論文におけるgood writing評価 : そのプロセスと決定要因
- 韓国人経験日本語教師のビリーフを探るー「いい日本語教師」に関するPAC分析の結果からー
- 中級段階の作文教育 : 自己評価と電子メールの利用