<論文>OPIにおける韓国語話者の「もの」「こと」の使用と習得
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本語の文を生成する際,形式名詞の「こと」は,文脈の中である事柄の代用語となったり,前接する文を名詞化する機能として用いられたりと重要な役割を果たす。また,「もの」は「こと」と対立する概念として学習者にとって理解しにくいものである。本稿では韓国語話者のOPI (oral proficiency interview)データを用い,形式名詞「もの」「こと」の各用法について自然発話での使用状況を調査し,その習得について考察し,習得順序を探った。調査の結果,「もの」「こと」共に,初級から中級,上級から超級の段階で使用数,種類が伸び,中級から上級の段階では,用法の広がりは見られないが形式名詞,名詞化の使用数の増加により,複雑な文を多く産出するようになることがわかった。また,各用法の正用者数の伸びから,中級は形式名詞,名詞化の用法等の構文的に必要な機能が習得される段階,超級は「というもの」「ということ」「Nのこと」や様々な文末表現といった特別なニュアンスを示す用法が習得される段階であると言える。各レベルの正用者の割合を基に本稿で提案した習得順序は,(1)たことがある→(2)もの形式名詞,こと形式名詞,こと名詞化→((3)ことができる)→(4)Nのこと→(5)というもの一般化,こと(は)ない,ということ一般化,ということ内容,であった。誤用については,形式名詞の「もの」と「こと」を混同するものが多く見られた。
- 国際基督教大学の論文
- 2002-03-31
著者
関連論文
- 教師の実践的思考を探る上でのビリーフ質問紙調査の可能性と課題 : 日本語教育における教師の実践的思考に関する研究(3)
- OPIにおける中国語話者の「の」の使用状況
- 学習者から見た効果的な語彙の指導法・学習法--アンケート結果より (第9回小出記念日本語教育研究会より)
- 中級の作文教育 : 意識調査,ワープロ・電子メール利用と作文の分析を通して考える
- 教師のビリーフ研究におけるPAC分析活用の可能性と留意点--HALBAUとSPSSによる分析結果の相違についての考察から
- 日本語教育における教師の実践的思考に関する研究(1)新人教師とベテラン教師の授業観察後のレポートの比較より
- 日本語教育における教師の実践的思考に関する研究(2) : 新人・ベテラン教師の授業観察時のプロトコルと観察後のレポートの比較より
- ノンネイティブ日本語教師に対する「いい日本語教師」に関するPAC分析--その結果およびPAC分析使用の意義と留意点 (第38回[お茶の水女子大学]日本言語文化学研究会発表要旨)
- コンケン大学教育学部日本語教育プログラムにおけるカリキュラム
- OPIにおける中国語話者の「もの」「こと」の使用とその正用順序
- OPIにおける英語話者の「もの」「こと」の使用と習得
- 上級日本語(日本語教育 報告-この10年-,日本語教育50周年記念特集)
- OPIにおける英語話者の「の」の使用と習得
- OPIにおける韓国語話者の「もの」「こと」の使用と習得
- 「ことだ」に関する一考察 : そのモダリティー性を探る
- 「ことだ」に関する一考察 : そのモダリティ性を探る
- OPIにおける韓国語話者の『の』の使用と習得
- 日本語教育の読解教材における「こと」の分析
- ノンネイティブ新人日本語教師にとっての研修の意義 -PAC分析によるタイ人新人日本語教師のビリーフ調査から-
- PAC分析と質問紙調査併用によるビリーフ研究 : あるタイ人日本語教師の事例より
- PAC分析を日本語非母語話者に日本語で実施する際の留意点 : タイ人新人日本語教師へのPAC分析から
- タイ人日本語学習者の「の」の使用 : 2年間の縦断的調査より
- 第二言語としての日本語小論文におけるgood writing評価 : そのプロセスと決定要因
- 韓国人経験日本語教師のビリーフを探るー「いい日本語教師」に関するPAC分析の結果からー
- 中級段階の作文教育 : 自己評価と電子メールの利用