<原著>訪問介護職員の記録に対する姿勢と意識
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概要
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訪問介護職員を対象に, 彼らが記録という作業に対してどのような姿勢や意識をもって臨んでいるかということを中心に明らかにすることにより, 現場の職員がよい記録を書く手がかりを得ることを目的とし, 次のような結果が得られた.第一に, 訪問介護職員は, 自分自身の業務の合間をぬって, 時間とせめぎ合いながら記録に臨んでいることがわかった.これは, 簡潔で要点がうまくまとめてあり, すぐに理解できるものをよい記録とし, さらにそのような記録を書こうと工夫しているという結果からも推察された.しかし要点を簡潔にまとめて書くという点について能力不足を感じている人が少なからず存在した.第二に, 記録を連携の場としてとらえていたことが特徴的であった.第三に, 自分の担当ケースについて視点を持ちながら記録に臨み, その記録をある程度介護に生かしている様子がうかがえた.しかし, それは観察した事柄を中心に記録し, 利用者のさまざまな情報の収集に役立てるという極めて単純な作業を行っているに過ぎない傾向を読み取ることができた.したがって, 介護過程の流れ全体を意識し, その各要素を適度に配分しながら記録し, その記録を実際の介護に生かすという視点を十分持ち得ていないことが示唆された.第四に, 記録についての研修・自己学習のニーズは極めて高かった.したがって, 自己の介護の内容を介護過程にそって考え, その考えた内容を簡潔で要領のまとまった文章に表現できることを目標とした研修プログラムが必要であり, またそのような姿勢で記録に実際に臨む努力のあることが示唆された.最後に, 記録を書く際には, 訪問介護職員の心理状態なども影響することがわかった.特に意識しない逆転移等のソーシャルワーク上の問題を介護i職員は十分認識するが必要があることが示唆された.
- 1999-12-25
著者
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