ハイデガー「事実と思想」の真実と虚構 : ハイデガーの「弁明」再論
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概要
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マルチィン・ハイデガーは, 第二次世界大戦後になって, 彼自身がフライブルク大学学長でありナチ党員でもあった時代を回顧する「1933/34年の学長職。事実と思想」と題する小論を書き, これを遺稿管理人の手に委ねた。彼の死後の1983年になって初めて公刊されたこの小論は, 実質的にハイデガーの「弁明」ともいうべき内容をもつものであり, ハイデガー自身による時代の証言としてハイデガー・ナチズムにかんする公式的な見解の絶えざる典拠としての役割を果たしてきた。彼はこの小論のなかで, 真実を隠蔽したり, あるいは真実を部分的に語りながらもこれにいくつもの虚偽を絡み合わせて, 自らのナチヘの深い関与を事実とは逆に描き, あたかも彼がナチに対する批判者であるかのように装ったり, あるいは自らのナチ関与を認めざるをえない場合でも, これが最小限度のものであったかのように自己演出している。本論文では, 我が国ではこれまであまり研究されてこなかったこの小論を主な分析の対象として, ここ十数年の間に急速に進展してきたハイデガー・ナチズム研究の成果を踏まえながら, ハイデガーの作為と虚構とを暴くとともに, ハイデガー・ナチズムの歴史的真実を明らかにし, そこに秘められたハイデガーの人物像と哲学思想の問題点を扶易uすることにしたい。
- 札幌学院大学の論文
- 2002-03-25
著者
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