有機農業技術の体系化に関する研究(2): 稲作技術を中心として
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概要
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15∿20年余りの歴史を有する有機農業実践農家の実態を通して,有機農業的な稲作技術の可能性について研究した。5戸の農家について3年にわたる実態調査を行ったが,いずれの農家も兵庫県有機農業研究会の会員である。有機稲作技術は,当初,不安定であったが,試行錯誤を重ねながら経験を積み,次第に向上してきていることがわかる。いずれの農家も有機農業の基本技術を適正な有機物の施用による土づくり・地力づくりに置いているのが特徴である。病虫害対策はまずその予防対策として土づくりに重点をおき,あわせて健苗育成,抵抗性品種の採用,疎植にして作物の病虫害に対する対応力を強くすることにより農薬を不要とする工夫が行われている。雑草対策も動力除草機あるいは輪作概念に基づく田畑輪換による耕作的省力化がはかられている。水稲の収量水準にはまだ変動が大きい点がみられるが,僅かではあるが増加しつつあるといってよい。有機稲作技術には,地域の自然環境条件を生かし,農家独自の技術を向上させ次第に体系されつつあるといえる。しかし,こうした有機農業が成立するためには,単に技術的課題だけを追求するのではなく,生産者と消費者の理解と信頼の関係を深めていくことも重要である。
- 神戸大学の論文
- 1997-01-30
著者
-
保田 茂
神戸大学農学部食糧生産管理学
-
保田 茂
神戸大学農学部食料生産管理学
-
安 柄烈
神戸大学大学院自然科学研究科博士後期課程
-
保田 茂
神戸大学農学部食料環境経済学研究室
-
保田 茂
神戸大学農学部
-
安 柄烈
神戸大学大学院
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