米粒の組織化学的研究(第3報) : 品種によるたんぱく質の分布

概要

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1)高知県産の玄米について組織化学的にたんぱく質の分布状態を観察し,次の結果を得た.1.全体にたんぱく密度は濃いが, 特に糊粉層とそれに接する周辺胚乳部分に濃く, 中心部になるにつれて少なくなる分布勾配の大きいもの.2.全体に分布密度が少ないが, 分布勾配はあり, 胚乳周辺部より内部へだんだん少なく中心部には殆んど存在しないもの.3.胚乳周辺から内部へかけての分布密度の均一性が大きく分布勾配が小さいもの.2)たんぱく質含有率の品種間差異は, 早生と中稲では有意差が認められたが, 早生の間, 中稲の間の品種間には有意差がみられなかった.組織化学的結果と合わせて要約すると, 全体の含有量には殆んど差はないが, 胚乳外部に多く存在する品種と, 胚乳内部にまで均一に分布している品種があるといえる.たんぱく質の胚乳内部への広がりの度合いが, 米の食味に最も影響するものと思われる.品種によるこれらたんぱく質の分布の差異を, 今後さらに検討していきたい.
高知学園短期大学の論文
1977-04-30