米粒の組織化学的研究(第1報) : 米粒及び炊飯粒のたんぱく質,脂質の分布について
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概要
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1)炊飯粒の検鏡切片作成では, 漸強アルコール列に, それぞれ1分間位で移していき, パラフィン包埋完了までを1時間以内で行うのがよいことが認められた.2)米粒中に存在しているたんぱく質, 脂質の分布状態あるいは存在形態について組織化学的に調べた.この際, リパーゼ, トリプシン等の酵素処理による方法もあわせ行ない検討した.3)玄米中の脂質は糊粉層と胚芽に小粒状に存在しているものと認める.4)水洗した白米については, 胚乳の最外縁部に部分的に, ごくわずかに脂質の存在が認められる.5)炊飯によって脂質の基本的な構造はかわっていない.一部脂質の小粒が分離して比較的大きな球体を作り, 胚乳内部に散在している.6)米粒のたんぱく質は, 胚芽と糊粉層の部分に脂肪粒と共存し, たんぱく質の細粒のまわりに脂質の小粒がすき間なく混在しているものと思われる.これはLitteが脂質はたんぱく質とコンビネイションで存在するというサジエストと同じ結果である.7)胚乳の外縁部のたんぱく質は半顆粒状を呈し, 細胞膜にそって存在している.また, 細胞間隙がアクロレイン・シッフ液で濃染することから, この部分にたんぱく質が蓄積されると推定される.これは木戸氏と同じ結果である.8)炊飯粒のたんぱく質は, 溶けたような状態で観察され, 白米中のような顆粒は存在しない.9)糊粉層, 胚芽中の脂質に対してリパーゼは確認し得る影響は与えなかった.しかしこの点に関してはなお検討を要する.10)胚乳内のたんぱく質はペプシンによって消化されるが, 胚芽および糊粉層中のたんぱく質は殆んど消化されなかった.それは両部位のたんぱく質の種類あるいはその混合割合が相違していることを示すか, 糊粉層部の脂質とたんぱく質の存在形態が酵素の攻撃を受けにくい状態であることを示すものと思われる.
- 1971-02-20
著者
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