南極みずほ基地における飛雪の酸素同位体組成の年変化と積雪層の同位体組成
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概要
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南極の斜面下降風域で, 積雪層を形成する前段階の新しいドリフトの試料をほぼ1年間にわたって採取し, それらの酸素同位体組成を測定した。また, 同地点の積雪層の同位体プロファイルも得られた。ドリフトのδ^<18>O値は, 夏に高く(-30∿-40‰), 冬は-50‰近くまで下がる場合があるが, 時々夏なみに高かった。δ^<18>O値と試料採取時の気温との関係はばらつき, 試料の起源の相違のためか, 採取時の気象状態によってずれた。もしこれらのドリフトが連続的に堆積すれば, 積雪層のδ^<18>O値の鉛直プロファイルも広い幅で複雑な変化をするはずだが, 実際は-35∿-45‰の範囲で単調に変化する。このプロファイルの極大・極小位置は, 堆積中断で形成された氷板の分布と良い相関がある。これらの結果は, 雪の同位体組成の堆積後の変化が, 積雪の同位体プロファイルの理解に重要なことを示している。
- 国立極地研究所の論文
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