遺伝情報によるショウジョウバエの悪性腫瘍 : IV.l(2)gl翅成虫原基細胞のin vivoでの増殖性
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概要
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これまでショウジョウバエの発癌遺伝子のうち劣性の癌遺伝子であるl(2)glの腫瘍細胞の増殖性について報告してきた(潮田・五百蔵,1997;東條・潮田,1998,1999)。特に第I報(1997)では,脳腫瘍の浸潤・増殖性を調べることにより強烈な発癌力をもつ悪性腫瘍であることを確認した。第II,第III報(1998,1999)では,l(2)glの腫瘍化した翅成虫原基細胞及び脳神経球細胞の増殖性と昆虫ホルモンとのかかわりをしらべた。これらの単離された腫瘍細胞を取り出して体外培養の条件下でのDNAの合成能を調べ,同時に正常細胞と比較して,腫瘍細胞の増殖が昆虫ホルモンのjuvenile hormoneにより促進される事を見いだした。本実験では,上記に用いたのと同じ系統の劣性の癌遺伝子,l(2)glの成熟幼虫の翅成虫原基腫瘍の組織片を用いて,体内培養の条件下で長期間にわたって,その増殖性を調べた。体内培養の方法は,体外培養の方法で培養された単離細胞より適した培養条件である。言うまでもなく体内培養では,体外培養での培養液組成と比べて完全な培養条件で,好条件下で長期間培養が可能なためである。最後にショウジョウバエの癌遺伝子はヒトのそれと類似していることにふれてこのシリーズのまとめとした。
- 大手前大学・大手前短期大学の論文
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