ショウジョウバエBarの複眼のパターン形成
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概要
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ショウジョウバエの複眼は,幼虫期に生じた複眼原基の発生分化の過程で,光受容細胞のパターン形成によって形成される(Ready, Hanson and Benzer, 1976;Campos-Ortega and Gateff, 1976,Campos-Ortega and Hofbauer, 1977)。Readyらによると,野生型(複眼を形成している小眼数は約700)の3令中期の原基の後端部から細胞が集合し(クラスター細胞の形成),原基のパターン形成が始まるという。クラスター細胞は8個の細胞からなり,将来個眼の光受容器になる。原基の後端部に配列を始めたクラスターは,発生の進行とともに前方部に移行し,クラスターが形成された部域と将来形成される予定域は,背腹形態形成溝が形成され境界となっている。さらに発生が進み幼虫末期になると,形態形成溝は原基の前端部(触角原基との境界域)に達し,複眼のパターン形成が終了する。本実験では,棒眼(Bar)系および野生型(Oregon-R)を用い両系統の複眼原基の発生に伴う光受容細胞のパターン形成について比較した。両系統とも孵化後70時間(3令中期幼虫)〜96時間(成熟幼虫)の複眼原基を用い原基内での発生にともなう細胞増殖の部域的変化について^3H-thymidineをとりこませて,オートラジオグラフィーの方法によって系統間の差異をしらべた。Barの複眼の小眼数は野生型の約1/10で70個であるが,Barの幼虫に経口的にlactamideを与えることにより,この小眼数を野生型に近づけることができる(Kaji, 1960)。本実験では,さらに種々の濃度のlactamideで処理したBarの眼原基についても^3H-thymidineをとりこませて小眼数の増加にともなう原基内での細胞増殖とその部域的変化をしらべた。
- 大手前大学・大手前短期大学の論文
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