看護実習における事故発生の要因と防止策
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概要
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実習中に起った事故(ミス,ニアミスを含む)の状況を把握し,考えられる原因や学生の行動パターンを明らかにすることによって,事故を防止すると共に指導のあり方を考えるために,兵庫県教務主任協議会に所属している看護専門学校等42校を対象にアンケート調査を行った。26校からの回答による130件について分析した結果,実習時期では3年次が最も多く,実習の種類では成人・老年実習に次いで小児実習での事故が多いことがわかった。内容別では単独で最も多いのが「転倒・転落」,次が「誤薬等」であり,次いで「無菌操作等のミス」と「実習記録類の置き忘れ・紛失」,「管類の抜去」「用具・設備等の破損等」と「学生の受傷」の順であった。「転倒・転落」では車椅子へ(から)の移動時と,歩行器や杖歩行の介助時が多く,対象は片麻痺患者の場合が多かった。「誤薬等」では量,薬剤,時間の順に誤りが多いことがわかった。項目ごとに各々の状況から原因を分析した結果,学生は「受持ち患者の病態的特徴やその時々の状態が把握できないまま行動する。」「特定状況(点滴,IVH,ドレーン装着等)での技術が未熟である」「一つのことだけに意識が集中し,他への注意や観察が不足する」「よくわからないまま自己判断で又は断りきれずに行動する」等,共通する原因や行動パターンが明らかになった。事故を防止するためには,教員や指導者がこれらを充分に認識して指導に当たると共に,ヒヤリ・ハットのレベルを軽視せずカンファレンス等で共有していくことが重要であり,また学内での教育内容や方法の補充・修正も必要である。
- 2002-03-06
著者
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榎田 守子
神戸市看護大学短期大学部(基礎看護学)
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久部 洋子
国立療養所兵庫中央病院附属看護学校
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榎田 守子
神戸市看護大学短期大学部:基礎看護学
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長尾 厚子
学校法人玉田学園神戸常磐短期大学看護学科
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加納 圀子
藤森看護専門学校
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定金 愛子
元姫路赤十字看護専門学校
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