2-スルホネ-ト脂肪酸メチルエステル(α-SFMe)の水生生物および活性汚泥への影響
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概要
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α-SFMeの水生生物と活性汚泥に及ぼす影響について検討した。水生生物としてヒメダカ (<I>Oryzias latipes</I>) を用い, JIS K 0102 “工場排水試験方法” にしたがって96 h LC<SUB>50</SUB>値 (96h半数致死濃度) を求めた。α-SFMeはC<SUB>12, 14, 16</SUB>の各単鎖アルキルおよびC<SUB>14</SUB>/C<SUB>16</SUB>混合物 (C<SUB>14</SUB>/C<SUB>16 : 30/70</SUB>) を用いた。その結果, 単鎖α-SFMeの場合アルキル鎖長と魚毒性に相関性が認められ, C<SUB>16</SUB>, C<SUB>14</SUB>およびC<SUB>12</SUB>-α-SFMeの各96hLC<SUB>50</SUB>値は1.3, 24および298mg/Lであり, 短鎖の方が毒性は弱かった。C<SUB>14</SUB>/C<SUB>16</SUB>混合α-SFMeのLC<SUB>50</SUB>値は2.4mg/Lであり, LASやAOSと同程度であった。また, 生分解過程における魚毒性の変化についてC<SUB>14</SUB>/C<SUB>16</SUB>混合α-SFMeを用いて検討した結果, α-SFMeは生分解が始まると急激に魚毒性が低下した。<BR>活性汚泥に及ぼす影響については, 家庭排水に含まれて流入するα-SFMeが下水処理場活性汚泥の下水処理能力 (酸化分解) に与える影響を検討した。MITI testにより, モデル基質 (グルコース, アミノ酸混合物) の生分解 (酸素消費量) を指標として検討した結果, 高濃度のC<SUB>14</SUB>/C<SUB>16</SUB>混合α-SFMe (50mg/L) を添加しても活性汚泥の酸化分解能に影響はなかった。また, 余剰汚泥が嫌気消化を受ける際, 汚泥に吸着残留したα-SFMeによる影響についても検討した結果, 高濃度 (12mg/g乾燥汚泥) のC<SUB>14</SUB>/C<SUB>16</SUB>混合α-SFMeを加えても嫌気消化において発生するガスの量, 組成に変化は認められなかった。
- 社団法人 日本油化学会の論文
- 1994-07-20
著者
-
大場 健吉
ライオン株式会社研究開発本部
-
増田 光輝
ライオン株式会社 安全性評価センター
-
小竹 比呂志
ライオン株式会社 安全性評価センター
-
三浦 千明
ライオン株式会社 安全性評価センター
-
増田 光輝
ライオン(株)研究開発本部・安全性評価センター
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小竹 比呂志
ライオン株式会社安全性評価センター
-
三浦 千明
ライオン(株)研究開発本部・安全性評価センター
-
大場 健吉
ライオン株式会社生物科学研究所
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