リンゴ数品種の成熟期における樹上果実および収穫果実のエチレン生成の比較
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概要
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The internal ethylene concentrations (IEC), 1-aminocyclopropane-l-carboxylate (ACC) and N-malonyl-ACC (MACC) contents, ACC synthase and ACC oxidase activities were measured on several attached and detached fruits of apple (Malus domestica Borkh.) cultivars during maturation. The purpose was to investigate the ability of fruits of 'Starking Delicious', 'Senshu' (mid-season) and 'Golden Delicious' and 'Fuji' (late season) to synthesize ethylene. The attached fruits of 'Starking Delicious' and 'Golden delicious' contained high IEC (40100 μl?L -1), whereas 'Senshu' and 'Fuji' contained low IEC (<10 μl?L -1). The results of ACC content, ACC synthase and ACC oxidase activities indicated that ACC synthase activity and ACC content were limiting factors of IEC in three cultivars except 'Starking Delicious'. IEC in attached fruits of 'Starking Delicious' had no correlation with these. IEC in detached fruits of all cultivars increased after 1 2 weeks in storage; and the value consistently exceeded IEC in attached fruits. The physiological reason, however, was not clarified by the changes of enzymes activities. It was indicated that detaching the fruit from the tree triggered the elevation of IEC, because the fruit was taken off before IEC increased. MACC content in attached fruits was almost constant during the maturation stage in all cultivars, but that in detached fruits increased several-fold during storage at 20°C. エチレン生成の品種間差異について検討するため,リンゴ4品種 ('スターキングデリシャス', '千秋,'ゴールデンデリシャス'および艦ふじ') の成熟期の着果果実 (樹上果) およびエチレン生成開始前に収穫した果実 (収穫果) の貯蔵中における果しん内エチレン濃度 (IEC), ACCとMACC含量, ACC合成酵素およびACC酸化酵素活性を測定した. 1.樹上果のIECは'スターキングデリシャス'と'ゴールデンデリシャス'で40~100μl・L-1まで増加したのに対し, '千秋'と'ふじ'では10μl・L-1以下の低濃度で推移した. IECの変化を制御する要因として, 'スターキングデリシャス'以外の3品種ではACC合成酵素活性およびACC含量が大きかったが,'スターキングデリシャス'ではエチレン生成系の酵素活性以外の要因の関与が示唆された. 2.収穫果のIECはいずれの品種においても貯蔵後1~2週間で著しく増加し樹上果のそれを上まわり,最も少ない'ふじ'でも100μ1・L-1に達した. 本実験結果からはエチレン生成系における要因を明らかにできなかったが, 収穫果の採取はIECが高まる前に行っていることから, 樹からの離脱が収穫果のIEC増加の一要因である可能性が示唆された. 3.MACCは, 全品種において樹上果では成熟期間中大きな変化はなかったものの, 収穫果では貯蔵期間中に数倍に増加した.http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/jnlabstract_ja.php?cdjournal=jjshs1925&cdvol=66&noissue=3-4&startpage=495
- 園芸学会の論文
- 1997-12-15
著者
-
樫村 芳記
果樹試験場リンゴ支場:(現)果樹試験場
-
壽松木 章
岩手大学農学部
-
高橋 敦
岩手大学農学部:(現)盛岡市役所
-
青葉 幸二
岩手大学農学部
-
増田 哲男
果樹試験場リンゴ支場
-
青葉 幸三
岩手大学農学部
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