M.9 わい性台木利用リンゴ樹における乾物生産とその樹体内分配に対する着果程度の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
わい性台木に接木した場合,比較的旺盛な生育をするふじと,弱勢になりやすいつがるの6~9年生樹を供試して,4年間にわたり乾物生産に対する着果程度の影響を検討した.<BR>1.弱勢のつがる供試樹は,ふじ樹に比較して,地上部の重量が乎均で約70%と少なかったが,台木部では約90%で大きな差異はなかった.この結果,つがる樹は,台木部に対する地上部の重量比が小さくなった.<BR>2.供試樹の平均葉面積指数(LAIa)はふじが2.39であったのに対して,つがるでは1.20と著しく低かった.つがるで葉面積指数が低かったのは,新梢の発生が少ないことが関係していると思われる.<BR>3.これら供試樹の1樹当たり年間乾物生産量(DM)は,それぞれつがるが4,280~10,011g,ふじが9,091~13,494gであった.1樹当たり乾物生産量(DM)と果実乾物重(F)の間には高い正の相関が認められた.<BR>4.1樹当たり乾物生産量(DM)および果実乾物重(F)をそれぞれ葉重 (L)で除した,葉の乾物生産能(DM/L)と着果程度(F/L)との間には,両品種を込みにした場合にも,極めて高い直線的な相関(r=0.96)が認められた.このことから,着果程度(F/L)が同じ樹での比較では,葉の乾物生産能(DM/L)には品種間差異はないと推察された.なお,葉の乾物生産能(DM/L)は着果程度(F/L)の増加とともに2倍以上に増大することが認められた.<BR>5.着果程度(F/L)が増加すると果実に対する乾物の分配率が高まり,枝幹に対する分配率が低下した.着果程度(F/L)が同じ樹での比較では,枝幹および新梢の生育量はつがるよりふじのほうが大きかった.<BR>6.1果当たりの葉面積および葉果比と葉の乾物生産能(DM/L)との間には,指数級数的な関係が認められた.
- 園芸学会の論文
著者
-
樫村 芳記
果樹試験場リンゴ支場:(現)果樹試験場
-
福田 博之
農研機構果樹研
-
福田 博之
果樹試験場
-
工藤 和典
果樹試験場:(現)果樹試験場リンゴ支場
-
瀧下 文孝
果樹試験場盛岡支場
-
工藤 和典
果樹試験場盛岡支場
-
樫村 芳記
果樹試験場盛岡支場
関連論文
- クリ新品種'ぽろたん'
- クリ新品種'ぽろたん'
- クリ新品種'ぽろたん'
- モモエクスパンシンホモログ(PchExp1, Exp2, Exp3)の発現とエチレンの関係
- クリ新品種'ぽろたん'
- クリ新品種'ぽろたん'
- 自家和合性の後代を効率的に獲得できる'なし中間母本農1号'
- クリ新品種'秋峰'
- 濃赤色に着色し、酸味のある中生のリンゴ新品種'さんたろう'の育成
- 着色・食味の良い中生リンゴの新品種'こうたろう'の育成
- 食味の良い極早生リンゴの新品種'ちなつ'の育成
- リンゴわい性台木の新品種'JM1'、'JM7'、'JM8'
- ニホンナシ新品種'あきあかり'
- ニホンナシ新品種'秋麗'
- ニホンナシ新品種'王秋'
- ニホンナシ新品種'あきづき'
- ニホンナシ '幸水' 新梢の花芽着生に及ぼすGA_3およびGA_4散布処理の影響
- モモ果実で発現するエクスパンシン遺伝子ファミリーの解析
- ニホンナシ新梢の糖代謝酵素活性に及ぼす誘引処理並びにマレイン酸ヒドラジッド散布処理の影響
- モモの生育時における細胞壁関連酵素遺伝子の発現について
- リンゴ'つがる'および'あかね'のエチレン生成ならびにエチレン生成に対する生長調節物質, アミノ酸および無機イオンの影響
- リンゴ数品種の成熟期における樹上果実および収穫果実のエチレン生成の比較
- リンゴの樹上果及び収穫果の成熟・貯蔵過程におけるエチレン生成系の変化
- モモ染色体の蛍光染色
- リンゴ'ふじ'のリーフカルスにおけるアントシアニン生成
- リンゴのはん点性生理障害(ビターピット)発生における果肉内カルシウムの限界濃度およびその発生予測
- 収穫期におけるリンゴ果実の大きさと果肉細胞径の関係
- M.9 わい性台木利用リンゴ樹における乾物生産とその樹体内分配に対する着果程度の影響
- 強勢台木とわい性台木を用いたリンゴジョナゴールド樹の乾物生産およびその分配の比較
- 園地の立地条件がリンゴふじ果実の品質に及ぼす影響
- リンゴ果実の軟化時におけるβ-D-ガラクトシダーゼとα-L-アラビノフラノシダーゼ活性
- 土盛り処理がM.26台紅玉リンゴ樹の生育および乾物生産能に及ぼす影響
- 袋掛けによる果実の遮光処理がM. 9わい性台利用 : リンゴ樹の乾物生産能に及ぼす影響
- リンゴ果実のコルク•スポット及びビター•ピットの形態的差異
- リンゴ果実の軟化に伴うポリウロナイドの可溶化と中性糖残基の分布との関係