高齢者の「日常生活活動における関心の志向性」尺度作成の試み
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概要
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目的 高齢者が日常生活において,どのようなことにどの程度関心を持って活動を行っているか(「日常生活活動における関心の志向性」と定義)について評価構造を検討し,尺度の構成を試みる。<br/>方法 「日常生活活動における関心の志向性」(以下,関心の志向性と略)に関する項目を収集するため,高齢者保健福祉関連従事者や高齢者を対象としたフォーカスグループインタビューを実施した。平成12年度社会福祉・医療事業団長寿社会福祉基金助成事業による「高齢者の『自立意識』向上支援に関する研究」研究チームで,筆記記録から50項目を整理し,①回答者の負担にならないよう意味の似通った項目は 1 つに絞る,②回答者によって,解釈が大きく異なる項目は除外する,③ダブル・バーレルとなる項目は除外する,を方針として検討し,18項目を選定した。これらの項目につき,「非常に重要」,「重要」,「あまり重要でない」,「全く重要でない」の 4 件法で回答を求める設問を含む調査票を設計した。調査は20市区町村の65歳以上の高齢者より無作為抽出した6,094人を対象に,2000年9月~11月に留置法で実施した。各項目ごとの回答分布を観察し,次いで年齢群(65~74歳,75歳以上)・性別に主成分分析を用いて因子構造を調べ,尺度構成を試みた。各尺度のスコアを算出し,年齢群・性別,プロフィール別に比較した。<br/>成績 回答者5,565人の内,18項目全てに回答した4,527人を解析対象とした。「家族と一緒に楽しめる」,「身体を動かす」,「家族の役に立つ」,「友人と一緒に楽しめる」,「自然と親しむ」では「非常に重要」,「重要である」とする回答比率が90%以上であった。年齢群・性別に共通する 4 つの因子を抽出し,それぞれ「人間交流志向」,「自己実現志向」,「社会的認知志向」,「安楽悠々志向」と命名して,16項目で関心の志向性尺度を構成した。各尺度のスコアは年齢群・性別にかかわらず,「人間交流志向」が最も高く,「社会的認知志向」が最も低かった。「自己実現志向」と「安楽悠々志向」スコアは高齢者によって順位が逆転した。<br/>結論 高齢者の「関心の志向性」尺度の作成を試みた。この尺度は高齢者個々の関心の志向性を把握することに役立つとともに,高齢者が参加しやすい生きがい活動や社会活動プログラムづくりを考える上での参考に寄与することが期待された。
- 日本公衆衛生学会の論文
著者
-
金子 勇
北海道大学
-
田中 陽子
静内町健康推進課
-
後藤 康彰
日本健康開発財団
-
河村 優子
大分県久住町在宅介護支援センター
-
坂本 惠子
岩手県宮古市介護保険課
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黒部 陸夫
日本健康開発財団
-
矢崎 俊樹
日本健康開発財団
-
中村 好一
自治医科大学
-
内藤 佳津雄
日本大学文理学部
-
坂野 達郎
東京工業大学
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