The Epworth Sleepiness Scale の性・年齢階級別得点分布と日中の過度の眠気の有症割合の推定 —地域住民を対象とした調査—
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概要
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目的 地域住民における主観的な日中の眠気について The Epworth Sleepiness Scale (ESS) を用いて測定し,地域住民の ESS の分布を記述することである。また,日本における「日中の過度の眠気(excessive daytime sleepiness: EDS)」の有症割合を推定することである。<br/>方法 北海道地方の人口約 1 万人のある自治体における20歳以上の全住民6,197人を対象とし,2000年10月から12月に自記式質問票を用いた悉皆調査を行った。日本語版 ESS を含んだ質問票は自治体の保健推進員の訪問により配布および回収された。解析対象は,ESS の 8 項目のうち 5 項目以上を回答したものとした。ESS の合計得点の平均値,標準偏差および性・年齢階級別分布は,分散分析により求めた。EDS の有症割合は,ESS の合計得点11点以上をカットオフ値として推定した。本調査の結果を2000年の性・年齢階級別日本人口を用いて標準化を行い,日本における EDS の有症割合を推計した。また,EDS に関連があるとされている諸要因についての検討を行った。<br/>結果 調査票回収数は5,327人(86.0%)であり,解析対象者は4,412人(71.2%)であった。本研究の対象集団における ESS の平均値(±標準偏差)は5.18±3.75(男性5.25±3.89,女性5.12±3.75)であった。男性,女性ともに年齢階級別の ESS の平均値に差がみられた(P<0.001)。ESS を用いて推定された EDS の有症割合は,9.2%(男性9.6%,女性8.8%)であった。2000年の性・年齢階級別日本人口を援用して推計した EDS の有症割合は,9.3%(男性9.6%,女性9.2%)であった。また,EDS は年齢,6 時間未満の睡眠,鼾と関連があった(P=0.002, P=0.008, P<0.001)。<br/>結論 地域住民を対象とした ESS の性・年齢階級別得点分布と日本における EDS 有症割合を推定した。これは,日本で初めて推定されたものであり,睡眠障害をきたす種々の疾患の診療,臨床疫学研究および公衆衛生施策に活用されることが期待される。また,ESS 得点による日中の眠気が年齢で違いがあることが明らかになった。これについては,生物医学,社会医学的な諸要因が関係していると考えられ,更なる研究が求められる。
- 日本公衆衛生学会の論文
著者
-
福原 俊一
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療疫学分野
-
竹上 未紗
京都大学大学院医学研究科医療疫学分野
-
山崎 新
国立環境研究所疫学曝露評価研究チーム
-
山崎 新
国立環境研
-
福原 俊一
京都大学大学院医学研究科
-
中山 健夫
京都大学大学院
-
笽島 茂
国立保健医療科学院公衆衛生政策部
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