アミDNAマイクロアレイを用いたトリクロサンおよびトリクロカルバンの生態影響評価
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概要
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薬用石鹸などに多く使用される抗菌剤のトリクロサン(TCS)とトリクロカルバン(TCC)は、使用量が大量であるため環境への排出量も大量である。そのため、抗菌剤の多くは、生活排水などを通じて、海洋に棲息する野生生物に多大な影響をおよぼす可能性が考えられる。これらTCSやTCCについて、世界の沿岸域に広く分布する海産甲殻類への影響を調べた報告は、魚類などに比べて極めて少なく、遺伝子発現レベルまで網羅的に調べた報告はない。そこで本研究では、TCSおよびTCCの影響についてアミDNAマイクロアレイを用いて詳細に評価することを目的とした。DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析の結果、TCS曝露において312、TCC曝露において264の発現変動を示す遺伝子を検出した。これら遺伝子群の中で、231の遺伝子が共通して発現変動を示していた。特にvitellogeninとclottable protein遺伝子の発現量増加が大きく増加していた。これらの遺伝子は、抗菌剤類のバイオマーカー候補となり得る。以上の結果から、TCSおよびTCCは環境中で検出されている濃度において、海産生物であるアミに影響を与える可能性が示唆された。今後、長期曝露における遺伝子発現解析を実施して、より詳細な環境リスク評価の確立を目指す。
- 大学等環境安全協議会の論文
著者
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古賀 実
熊本県立大学
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古賀 実
熊本県立大学環境共生学部
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有薗 幸司
熊本県立大学環境共生学部
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鏡 良弘
株式会社エコジェノミクス
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中村 浩
株式会社エコジェノミクス
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内田 雅也
株式会社エコジェノミクス
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草野 輝彦
株式会社エコジェノミクス
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有薗 幸司
熊本県立大学
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井口 綾子
熊本県立大学大学院 環境共生学研究科
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山内 良子
熊本県立大学環境共生学部
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三浦 苑子
株式会社エコジェノミクス
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平野 将司
愛媛大学沿岸環境科学研究センター
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吉津 伶美
熊本県立大学環境共生学部
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