海産甲殻類アミを用いた抗菌剤トリクロサンおよびトリクロカルバンの生態影響評価
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
トリクロサン(TCS)およびトリクロカルバン(TCC)は、薬用石鹸やシャンプー等様々な製品に幅広く使用され、産業廃水や生活排水を通じて環境中に広がり、水圏の野生生物に影響をおよぼすことが示唆されている。これらの研究は、水域生態系の生物を対象としたものが多く、化学物質の最終到達地点と考えられる海域に棲息する生物を対象とした研究は少ない。そこで本研究では、海産甲殻類アミを用いたTCSおよびTCCの生態影響評価を目的とした。急性毒性試験は、USEPAの試験法(EPA/600/4-90/027F)に準拠し、96時間曝露の半数致死濃度を算出した。成長・成熟試験は、USEPAの試験法(EPA method 1007)に準拠し、14日間半止水式曝露を行った。曝露期間中、生死と脱皮数の観察を行い、曝露終了後、体長、体重及び頭胸甲長を測定し、二次性徴の形態観察から雌雄比を算出した。それぞれの半数致死濃度はTCSで70 µg/L、TCCで12 µg/Lであり、現在報告されているTCSとTCCの水環境中濃度よりも高かった。成長・成熟試験の結果、TCSは0.5 µg/L、TCCが0.05 µg/Lで、各測定項目に有意な減少が認められ、半数致死濃度よりも極めて低濃度であった。本研究の結果、環境中濃度が低濃度であっても、長期的な曝露でアミに対する成長・成熟への影響をおぼすことが示唆され、水域環境への影響が懸念された。
- 大学等環境安全協議会の論文
著者
-
古賀 実
熊本県立大学
-
内田 雅也
株式会社エコジェノミクス
-
草野 輝彦
株式会社エコジェノミクス
-
有薗 幸司
熊本県立大学
-
山内 良子
熊本県立大学環境共生学部
-
三浦 苑子
株式会社エコジェノミクス
-
平野 将司
愛媛大学沿岸環境科学研究センター
-
吉津 伶美
熊本県立大学環境共生学部
関連論文
- ダイエタリーサプリメントに使用される大豆抽出物とエチニルエストラジオールの複合エストロゲン活性
- 23. Urinary Naphthols as Proper Biomarkers for Polycyclic Aromatic Hydrocarbons via Air (第15回産業医科大学学会総会学術講演会記録)
- 22.LC/MSによる低分子ジオールの分析(一般講演,平成6年度九州地方会)
- 5.尿中代謝物の分布(分布区分1,2,3)(第22回有機溶済中毒研究会)
- 17.ガソリン暴露者の尿中代謝物の推移(一般演題,平成3年度九州地方会)
- ヘッドスペース・ガスクロマトグラフ法およびイオンクロマトグラフ法による尿中臭素イオンの定量 : 臭化メチル暴露の生物学的モニタリングへの応用
- P-64 蛍光染色を利用した大気浮遊粒子上に存在する生菌の観察(ポスター発表(アカデミックプロムナード))
- 安定大気時における熊本市の浮遊粒子状多環芳香族炭化水素(PAHs)に関する研究
- 環境ホルモンについてヒト体内の環境ホルモンの存在量と評価
- A408 遺伝子発現解析による農薬の内分泌かく乱性評価手法の開発
- 熊本県立大学情報処理システムの近況
- 誘導体化stir bar sorptive extractionと加熱脱着GC/MSを用いた缶詰中ビスフェノールA及び関連化合物の分析
- アジア水会議2001 : Asian Waterqual 2001
- 水環境学会シンポジウムの役割
- 総括報告
- 環境分析化学実験の構成と実践
- P2-103 DNAマイクロアレイを用いたAHTNおよびHHCB曝露による遺伝子発現変動の解析(環境変異原)
- 環境とバイオテクノロジーの融合による新たなマーケットの開拓を目指して
- 脳腫瘍および脳腫瘍治療の臨床指標としてのメタロチオネイン
- 医薬品・生活関連物質の環境汚染と生態影響
- 固相マイクロ抽出とオンカラムシリル化を用いたビスフェノールAの高感度分析 (環境ホルモンと分析化学)
- 線虫 C. elegans に及ぼす塩化リチウムの影響
- 線虫マイクロアレイを用いた環境化学物質のバイオアッセイ (特集 環境化学物質の作用メカニズムを解き明かす)
- アジア諸国農村部における生業転換にともなう化学物質の導入と曝露 : ENVRERA研究
- キンギョを用いた水環境評価法 : フィールド調査手法に関する検討
- 魚類を用いたリスク研究の一例
- 水環境におけるエストロゲン作用評価手法としてのビテロゲニン
- ELISAによる環境汚染物質の測定
- 底質毒性評価 : 重要性と課題
- 内分泌攪乱作用を検出する遺伝子レベルのバイオアッセイ
- ELISA法の現状と展望
- 河川,沿岸生態系と魚
- 食品と関連する内分泌かく乱作用化学物質(12)水銀
- 水環境評価とエコトキシコジェノミクス
- ダイオキシン類のバイオアッセイを用いた簡易測定法の最新動向
- 免疫化学測定法の環境分野への適用における現状と展望
- 水環境に存在する重金属(微量元素)の毒性
- 環境ホルモン(内分泌撹乱物質)の魚類への影響--ビテロジェニンをバイオマーカーとして (特集 環境ホルモン研究最前線)
- 農薬--歴史, 関連法規,残留問題,ポジティブリスト (食のサイエンス(3)農薬)
- BSE--その歴史と背景,動向,課題 (食のサイエンス(2)BSE)
- バイオマーカーを用いた水環境評価法
- ビスフェノールAを取り巻く最近の情報
- ECO ANALYSIS 化学物質の生物影響評価用DNAマイクロアレイの開発
- 遺伝子組換え食品の安全性 (食のサイエンス(5)遺伝子組換え食品)
- 食中毒--最近の発生傾向と病因物質 (食のサイエンス(4)食中毒)
- 環境ホルモン(内分泌撹乱物質)の魚類への影響 : ビテロジェニンをバイオマーカーとして
- 医薬品類や日常生活由来化学物質による水環境の汚染実態と生態影響 (京都大学環境衛生工学研究会 第29回シンポジウム講演論文集) -- (特別セッション 水環境に見出される医薬品類や日常生活由来の汚染)
- 地域食育活動事業実施報告 熊本県立大学食育推進プロジェクト 食の拠点形成 : 学食を活用した食育活動
- パルス放電によるトリクロサンの分解過程に関する評価
- ポーチュラカ (Portulaca oleracea) 根及び西洋わさび由来ペルオキシダーゼによるビスフェノールA関連化合物の分解
- 分岐型ノニルフェノール異性体のGC/MS分析法の検討
- ポーチュラカ(Portulaca oleracea)によるビスフェノールA関連化合物の分解
- データベースを利用したGC/MSによる検出および定量法の河川水中農薬分析への適用性に関する検討
- 水道水質試験の標準液調製における不確かさと定量精度に影響を及ぼす要因
- ペット飼料中の植物エストロゲンとエストロゲン作用の研究
- 容器包装添加剤用GC/MSデータベースの開発と加工食品分析への適用
- アミDNAマイクロアレイを用いたトリクロサンおよびトリクロカルバンの生態影響評価
- 海産甲殻類アミを用いた抗菌剤トリクロサンおよびトリクロカルバンの生態影響評価
- ペット飼料中の植物エストロゲンとエストロゲン作用の研究
- 容器包装添加剤用GC/MSデータベースの開発と加工食品分析への適用