嚢胞内に多数の“floating balls”を有する卵巣成熟嚢胞性奇形腫の1例

概要

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概要　今回われわれは嚢胞内に多数の“floating balls”を有する，非典型な画像所見を呈した卵巣成熟嚢胞性奇形腫の1例を経験したので報告する．症例は37歳，1経妊1経産，2週間前より持続する下腹部痛にて近医を受診した．骨盤内を占める15cm大の腫瘤を指摘され，当院紹介受診された．当院での経腹エコーおよび骨盤MRIでは嚢腫内に浮遊する直径1～3cm大の類円形の成分を多数認めた．その他，最大8cm大の変性筋腫あり．開腹左付属器摘出術および筋腫核出術を施行した．嚢腫内には漿液性内容液に浮遊する直径3cmまでの球形泥状の塊が多数含まれていた．術後病理検査結果は卵巣成熟嚢胞性奇形腫および子宮筋腫であった．卵巣成熟嚢胞性奇形腫において本症例のような画像所見は，“floating balls”などの表現でこれまで23症例が報告されている．まれな画像所見を呈する卵巣成熟嚢胞性奇形腫の1例として，文献的考察を加え報告する．〔産婦の進歩64（2）：127-131，2012（平成24年5月）〕