茶葉中の遊離アミノ酸について : (第4報)紅茶及び緑茶製造中の消長
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概要
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茶葉中の遊離アミノ酸は,茶の味に重要な関係をもつばかりでなく,更に製茶,殊に紅茶製造の際,その香気及び色の形成に関与すると言われる.よって製茶の際の遊離アミノ酸の消長を明らかにすることは,製茶過程を明確にし,製茶技術を改善するためにも意義あることと思われるので,微生物定量法を用いて各アミノ酸の量的変化を測定し考察を加えた.下記の如く,緑茶製造の際は,あまり変化が認められなかったが,紅茶製造の際は,アミノ酸の種類によりその増減が著しかった. I. 紅茶 (1) 萎凋の際は,グルタミン酸,テアニン以外の全アミノ酸の増加が著しい.殊に含量の少いパリン,ロイシン,イソロイシン等の増加率は高く,原葉の4〜8倍にも達する. (2) 揉捻,醗酵の段階において,アラニン等二,三のアミノ酸は殆んど変化しないが,他のアミノ酸は一般に減少の傾向を示す.アスパラギン酸,グルタミン酸,テアニン,ヒスチジン等は特にその傾向が著しい. (3) 乾燥(製品仕上げ)の際は,アミノ酸の種類によりその増減は区々であり,同一アミノ酸についても,1番茶,2番茶を比べ,必ずしも同一の結果を得ないものがあった.乾繰の際の微妙な条件が消長に著しく関係するのではないかと考えられる. II.緑茶 全過程を通じて余り変化がないが,僅かながら減少の傾向を示すものが多い.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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長島 善次
静岡大学農学部
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中川 致之
静岡大学農学部
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徳村 治彦
静岡大学農学部
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鳥海 康宏
静岡大学農学部
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長島 善次
東京大學農學部農藝化學教室
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長島 善次
静岡大学農学部農芸化学教室
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長島 善次
静岡大学農学部農芸化学科
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