茶葉中の遊離アミノ酸について : (第3報)微生物定量によるTheanineの定量法
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概要
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茶葉中の遊離アミノ酸の中,殊に旨味に重要な関係をもつと考えられるtheanine (glutamic acid γ-ethyl-amide)を微生物定量を応用して定量すべく検討を行つた. 1. Theanineはグルタミン酸の定量菌株であるLact. arabinosusに対し,全く不活性である. 2. Theanineは2N塩酸酸性にて封管中で120°, 1時間加熱すれば,定量的にグルタミン酸となる. 3. よつて,茶葉中の遊離グルタミン酸及びtheanineを次の如くにして定量する.茶葉粉末を温湯で浸出,酢酸鉛で処理,脱鉛,減圧濃縮して得た液の一部はそのままLact. arabinosusによりグルタミン酸を定量し,これを遊離グルタミン酸の定量値とする.又一部は,上記条件で加水分解の後グルタミン酸を定量し,加水分解により増加したグルタミン酸の値を換算してtheanineの定量値とする.これより,ほぼ微生物定量のもつ誤差の範囲内で両者を定量出来る.なお両者を定量するのに1〜5gの試料で足りる. 4. グルタミン, α-ケトグルタール酸等グルタミン酸に構造の類似した物質が存在するときは定量値に影響することが考えられるので,これにつき検討した. 5. 上記の方法により,数種の製茶につきグルタミン酸, theanineを定量し,その結果につき2, 3の考察を行つた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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長島 善次
静岡大学農学部
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中川 致之
静岡大学農学部
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長島 善次
東京大學農學部農藝化學教室
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中川 致之
静岡大学農学部農芸化学科
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長島 善次
静岡大学農学部農芸化学教室
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長島 善次
静岡大学農学部農芸化学科
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