茶葉中の遊離アミノ酸について : (第2報)アスパラギン及びアスパラギン酸の分別定量
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
茶中にはアスパラギン,アスパラギン酸の両者が存在するが,アスパラギンはアスパラギン酸の定量菌株Leuconostoc mesenteroidesに対し或る程度の活性度を有しているので, bioassayによりアスパラギン酸を定量する場合には,予めアスパラギンを分別しておく必要がある.更に分別したアスパラギンを加水分解してアスパラギン酸となし定量すれば,両者の分別定量が可能と考えられるので,これにつき検討を行つた. (1) L-アスパラギンはLeuconostoc mesenteroidesに対し或る程度の活性度を有しているが,低濃度に於いては利用され難い. (2) アスパラギンは2N塩酸酸性とし封管中で120°, 1時間加熱すれば,ほぼ理論的にアスパラギン酸に加水分解される. (3) 茶浸出液中のアスパラギン及びアスパラギン酸の分別の検討を,種種のイオン交換樹脂を用いて行つたが,中塩基性Amberlite XE-114のCl型が最良の結果を与え両者が定量的に分別される. (4) 以上の結果より,茶中の遊離アスパラギン及びアスパラギン酸の分別定量法として次の方法を提案する.茶葉を温水で浸出,塩基性醋酸鉛で処理,脱鉛減圧濃縮して得た液の一部をAmberlite XE-114 Cl型のカラムに通し水にて洗い流出液をとり,次いで0.1N HClにて溶出,溶出液をとる.溶出液はpH 6.2に調整した後,アスパラギン酸を定量,アスパラギン酸の定量値とする.又流出液は2N塩酸酸性とし,封管中で120°, 1時間加熱した後アンモニヤにてpH 6.2に調整,アスパラギン酸を定量し換算してアスパラギンの定量値とする.このとき両者はそれぞれbioassayの誤差の範囲内で定量される. (5) 上記の方法により,数種の製茶につきアスパラギン,アスパラギン酸の分別定量を行つた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
関連論文
- ワサビ無機成分の時期別変化について
- Myrosinaseに関する研究-1・2-
- ミロシナーゼに関する研究(第3報) : 植物に於ける分布並びに起源を異にするミロシナーゼのミロスルファターゼ,チオグルコシダーゼ両活性比
- ミロシナーゼに関する研究(第5報) : 動物ミロスルファターゼとの関係
- ミロシナーゼに関する研究(第4報) : 阻害試験
- ミロシナーゼに関する研究(第6報) : ミロシナーゼによる辛子油配糖体の分解機構
- わさびに関する研究(第5報) : 粉わさびについて(その1)貯蔵中変質していわゆる“馬鹿になる”現象
- わさびに関する研究 : (第4報) 配糖体Sinigrinの定量法
- わさびに関する研究-2-
- 茶葉中の遊離アミノ酸について : (第4報)紅茶及び緑茶製造中の消長
- わさびに関する研究 : (第3報)配糖体Sinigrinの分離,確認
- 茶葉中の遊離アミノ酸について : (第3報)微生物定量によるTheanineの定量法
- 茶葉中の遊離アミノ酸について : (第2報)アスパラギン及びアスパラギン酸の分別定量
- わさびに関する研究 : (第1報)わさび及びからし(黒からし)の辛味成分について
- アセトン・ブタノール醗酵に関する研究-17・18-
- 絹纖維強化に關する研究(第2報)
- 茶葉中の遊離アミノ酸について : 第1報 Bioassayによる定量
- 茶葉中の遊離アミノ酸について-5-