黄蜀葵根粘質物に関する研究 : (第4報)ラムノージーガラクチュロン酸塩の生成に就いて
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概要
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精製粘質物を4%硫酸により100°,15時間加水分解して得た分解生成物に就いてBa, CO2及びラムノース値をそれぞれ定量した結果生成物の大部はラムノース1分子とガラクチュロン酸2分子とより構成される3糖体及びこれの2量体である6糖体よりなり,アルドビウロン酸は存在しないか或は存在するとしても極く少量に過ぎないものと推論される結果を得た. 次いで分解物のアルデヒド基酸化をGoebel法(17)に準拠して実施し,得た酸化物のBa-塩の分析結果より3糖体に就いてはラムノース値が殆んど零となり,かつCO2発生率が高い事,又6糖体に於いてはラムノース値半減し,かつCO2発生率が高い事実より結合様式は3糖体では[GA-GA-R]であって右端ラムノース基に遊離アルデヒド基が存在し,6糖体ではこれの二量体即ち[GA-GA-R-GA-GA-R]で遊離アルデヒド基が同様右端ラムノース基に存在することを明かにした. かかる結果より考察すれば,既報の如く粘質物がラムノースとガラクチュロン酸とが[1 : 2]の分子比により構成されているので,粘質物は[GA-GA-R]nを以て示されうるものと推察しえられる.尚本粘質物の分子構造に就いて町田及び内野(15)等は筆者と同じ方法によりえた精製粘質物の溶液粘度の研究に於いて食塩の添加によって粘度-濃度曲線に於ける極小点が消失する事実より粘質物が異極性糸状高分子であり,かつそのニトロ化物の粘度より分子重合度は約390であると論じている.今この結果を正しいとすれば本粘質物は[GA-GAR]nを以て示される糸状高分子であると推察される.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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