タイ米のMicrofloraに関する研究 : タイ米及びビルマ米の微生物に関する研究(第1報)
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概要
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微生物による穀類の変質を究明する場合には先ず穀類という一つの生態系におけるMicrofloraの動向を追究することが重要であると考え,いわゆる黄変米或は病変米の発生に関する微生物学的研究においてもこの立場から実験を進め,タイ米について得た知見をまとめると次の如くである. A. 稲の正常な成熟以後におけるMicrofloraの最も著しい転換は搗精直後から白米貯蔵のかなり初期に認められる.即ち籾殻(内穎及び外穎),糠層(果皮,種皮,外胚乳及び糊粉層)及び時には澱粉層のごく一部をも除去した搗精直後には微生物総数は非常に減少し稲の立毛中に侵入すると考えられる一部の糸状菌(Alternaria, Curvularia, Helmintosporium, Cepharosporium等)と細菌としてはYellow Pseudomonasが残存するが,白米として貯蔵期に入ると之等の残存菌種は更に減少し,それに代って糸状菌ではWhite Aspergillus,細菌ではBacillus megatherium群及び放線菌が主となる. B. 白米として雨期を経過し貯蔵された正常米では糸状菌ではWhite Aspergillusを主としたAspergillus及び其他ではPenicilliumがやや多く,細菌ではやはりBacillus megatherium群が主であるが,特に放線菌(Streptomyces diastaticus等)が多く見出されることは注目に値する. C. また白米貯蔵で雨期を経過したものの中には肉眼品質検査(例えばFESCO法)で変質の認められるものがあり,それら変質米の共通な特長はAspergillus, Penicillium及び放線菌が正常米に比して著しく多い事である.従ってタイにおける微生物による変質米の発生は白米貯蔵期間におけるAsgergillus, Penicillium及び放線菌の繁殖の程度に直接左右されるものと考えられる. D. 米の放線菌については従来全く注目されていなかったが正常な白米の殆んど全試料のみならず,一年貯蔵籾の搗精直後のものにもかなり認められる.なおこれら米の放線菌はStreptomyces diastaticus類似株が主で,白米に人工培養して経口的にマウスに与えると著しい毒作用を示すものが多い(3).
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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