尿素誘導体の動物体内における消長
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概要
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(1) 尿素・ビウレット・メチレンジウレア・ポリメチレンウレア製品(尿素を含む)などの動物体内における消長を知るために,消化管内微生物の少ないと考えられる中ヒナにこれらを与えて,消化管各部位・血液・肝臓・筋肉などにおける行動を追跡した. (2) ポリメチレンウレア製品,メチレンジウレア,尿素を5%含む飼料の給与はヒナの成長を抑制したが,ビウレット給与の場合は対照と殆んど変りなかった.またこれらのヒナの肝臓,腎臓の肉眼的観察ではビウレット給与ヒナの肝臓がやや小さかったほかには著変が認められなかった. (3) 血液・肝臓・筋肉中の尿素含量は尿素およびポリメチレンウレア製品の給与によりいずれも著しく増大した.またメチレンジウレアの給与も尿素含量を明らかに増大したが,尿素ほどではなかった.ビウレットの給与は僅かに尿素含量を増大するようであった. (4) 血液・肝臓・筋肉中のメチレンジウレアの含量は各区共に低く,著変は認められなかった. (5) 血液・肝臓・筋肉中のビウレット含量はビウレット給与区のみ著しい増大が認められた. (6) 尿素(U)中の尿素の吸収は消化管上部でなされ,かつ吸収率は大きかった. (7) ポリメチレンウレア製品中の尿素の見かけ上の吸収部位はやや下がっていたが,吸収率はかなり大きかった. (8) ビウレットの吸收部位もやや下がっていたが,吸収率は大きかった. (9) メチレンジウレアも消化管内でかなり上部で吸収されるように見えたが,これは吸収よりもむしろ分解して尿素を生成したものと考えられた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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岩田 久敬
大下学園女子短大栄養化学室
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岩田 久敬
九州大学農学部農芸化学栄養教室
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小林 邦彦
九州大学農学部農芸化学栄養教室
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松岡 昌彦
九州大学農学部
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下茂 繁
九州大学農学部農芸化学教室
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小林 邦彦
九州大学農学部
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小林 邦彦
九州大学農学部農芸化学教室
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岩田 久敬
九州大学農学部
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