早期栽培米の貯蔵性に関する研究
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概要
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早期栽培米の貯蔵性が普通期栽培米より劣るといわれているので,この点について実験検討した.その結果早期米は,可溶性の炭水化物,可溶性の窒素化合物が普通期米より多いことが明らかとなり,微生物の侵入繁殖が容易で,粒内変化も起り易いと推測される.早期米,普通期米を同一条件下で実際に貯蔵した場合の品質変化を比較検討する目的で貯蔵試験を行った結果は,水抽出酸度,カタラーゼ力価の変化等より判断して,早期米は貯蔵初期において,その品質保持上若干の問題があることがわかった.さらに収穫期前後の試料について10日ごとに品質変化を測定したが,測定した数点の試料に関しては少なくとも両者の間に確然とした差異は見出されなかった.ただし,収穫直後の試料は水分含量が多く,呼吸による消耗が著しく多い上に,米粒内の物質が不安定で,数値が大きく変化していることなどから,収穫期の変質しやすい時期が夏季の高温多湿期である早期米は,品質変化,微生物の侵入の危険がより大きいことが推測できる.しかし収穫後の処理,乾燥が迅速適切に行われるならば,品質変化の点でそれほど大きな問題はないと考えてさしつかえない.なお本研究の呼吸量測定の装置は,各方面専門の方々の御指導のもとに考案した独特のもので従来の穀類の呼吸測定法に比べて,極めて精度の高いものであるので特に詳述した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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