サトイモ (Colocasia esculenta (L.) Schott) の球茎形成肥大に伴う非澱粉性多糖の変化
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概要
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サトイモ(Colocasia esculenta(L.) Schott)の球茎形成,肥大に伴う細胞壁構成多糖の変化を検討する目的で,世代別(種芋,親芋,子芋),経日的に非澱粉性多糖の分画を行い検討を行った. (1) 種芋では,親芋の生長に伴う組織の軟化崩壊により,イモ100g当りの非澱粉性多糖の収量は他の世代のイモに比し低値を示した.また,得られた非澱粉性多糖に占めるセルロース画分(アルカリ不溶画分)の多糖の収量は経日的に顕著な低下を示した. (2) 親芋では,イモ100gに占める非澱紛性多糖の収量は高値を示し,経日的に増加傾向を示した.しかしながら非澱粉性多糖の全重量に占めるペクチン画分(熱水および0.5%シュウ酸可溶画分),ヘミセルロース画分(アルカリ可溶画分),セルロース画分の量比に経日的な変化は認められなかった.また量的にはヘミセルロース画分の占める割合が高値を示し,セルロース画分の占める割合が低値を示した.構成糖では,主としてペクチン画分において,経日的に顕著なグルコースの増加とガラクトースの減少が認められた. (3) 子芋では,イモの肥大に伴いイモ100gに占める非澱粉性多糖の収量は顕著に減少した.また,非澱粉性多糖の全重量に占めるペクチン画分の割合が高値を示し,経日的には,セルロース画分の顕著な増加が認められた.構成糖では,ペクチン画分において,経日的なグルコースの減少とガラクトースの増加が認められた.
著者
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大谷 貴美子
武庫川女子大・家食物
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中岡 恵美
武庫川女子大学家政学部食物学科
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佐治 弥生
武庫川女子大学家政学部食物学科
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杉本 温美
武庫川女子大学家政学部食物学科
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阿部 一博
大阪府立農林技術センター
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