菌床栽培ヤナギマツタケの化学成分について
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概要
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ブナ鋸屑にフスマを15%(W/W)混合した菌床(水分, 60%, 2.5kg,ブロック)で栽培したヤナギマツタケを部位別に傘の径3cm以上を大傘と大柄,以下を小傘と小柄に分け,おのおのの化学成分を分析した. (1) 子実体の成分は水分(90.4%),灰分(0.8%),タンパク質(2.9%),脂質(0.1%),炭水化物〔糖質(nonfibrous carbohydrates):5.1%,粗繊維:0.7%〕だった.傘は灰分,タンパク質,脂質が多く,柄は糖質と粗繊維が多かった. (2) 無機質はカリウムが321mg/100g新鮮重で最も多く,つづいてリン,マグネシウム,ナトリウム,カルシウム,亜鉛,鉄,銅,マンガンの順だった.マンガンは傘と柄に均等に,カリウムは柄に,リンは傘に多い傾向が認められた. (3) 遊離糖ならびに遊離糖アルコールはトレハロースが最も多く,つづいて,マンニトール,ミオーイノシトール,フラクトースだった.グルコース,グリセリンは痕跡だった.全遊離糖は大傘では98%が,小傘では95%がトレハロースであった.傘の全遊離糖アルコールの90%以上はミオーイノシトールであった.マンニトールとフラクトースは大部分が柄に含まれていた. (4) 有機酸は乳酸,リンゴ酸,クエン酸,ピログルタミン酸を多く含み,傘にはクエン酸,柄にはリンゴ酸が多い傾|向が認められた.呈味成分のコハク酸は少なかった. (5) 遊離アミノ酸ではグルタミン酸,スレオニン,アラニン,アスパラギン酸ならびに非タンパク質性アミノ酸のオルニチンが多かったが含硫アミノ酸,プロリン,ヒスチジンは少なかった.全アミノ酸はグルタミン酸,アスパラギン酸,アラニン,リシンなどが多かったが含硫アミノ酸,ヒスチジンはきわめて少なかった. (6) Prosky法による食物繊維量は大柄(2.47%),小柄(2.36%),小傘(1.57%),大傘(1.09%)の順で,子実体は1.86%だった.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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佐藤 尚美
新潟大学歯学部口腔細菌学講座
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早川 利郎
新潟大学農学部
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吉村 久
有限会社松原食茸
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金高 正典
新潟大学農学部農芸化学科
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早川 利郎
新潟大学農学部農芸化学科
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佐藤 尚美
新潟大学歯学部細菌学教室
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