担子菌の分類群間における酵素生成パターンの比較
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(1) 担子菌82株の菌体外酵素生産姓を検討し,分類群と酵素生成パターンの対応を求めた. 一般に,ヒダナシタケ目に酵素生産性の高い菌株が多い.生長と酵素生産性は必ずしも対応しない. (2) ヒダナシタケ目では酸生プロテアーゼ,アミラーゼ,セルラーゼ(C2活性),ペクチナーゼ等の生産性が高く,マツタケ目では塩基性プロテアーゼ生産性が高かった. (3) キシラナーゼ, β-1, 3-グルカナーゼは担子菌によって普遍的に生成され,トレハラーゼ,セルラーゼ(Cx活性)もその傾向が強い. (4) ヒダナシタケ目ではTrametinae, Coriolinaeに,マツタケ目ではCoprinaceaeに酵素生産性の高い菌株が多かった. (5) L. japonicusはマツタケ目の例外であり,むしろヒダナシタケ目の菌株に近い. T. sanguineaとI. lacteusは検討したいずれの酵素生産性も高いが,前者ではプロテアーゼ活性の方が,後者ではペクチナーゼ活性の方が高いという差が認められた. (6) 酵素生成パターンの比較を菌株レベルで行なうと,菌株ごとにバラバラであるが,分類群として行なうならば,明らかに群としての一定の傾向を認めることができる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
関連論文
- 担子菌による植物組織の崩壊 : (第2報)粗酵素の各種多糖類分解活性について
- 担子菌におけるアミラーゼ,セルラーゼおよびキシラナーゼ生産性の分布
- 担子菌におけるペクチナーゼおよび植物組織崩壊酵素の生産性
- 担子菌におけるβ-1, 3-グルカナーゼ,キチナーゼおよび酵母溶菌酵素の生産性
- 担子菌におけるプロテアーゼの生産性およびその凝乳活性の分布
- 担子菌の分類群間における酵素生成パターンの比較
- 担子菌による植物組織の崩壊 : (第1報)植物組織崩壊酵素生成菌株の検索
- 担子菌による植物組織の崩壊 : (第3報)粗酵素の分画
- Coprinus属の生産する真菌類細胞壁分解酵素 : (第3報)粗酵素による細菌および酵母菌体の処理
- Coprinus属の生産する真菌類細胞壁分解酵素 : (第2報)粗酵素の特性