ソ連で収集したニンニクの稔性について
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概要
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ニンニクは従来不稔とされてきたが, ソ連産1系統で稔性が認められたことから, 1983年中央アジアを主に, ソ連で系統を収集し稔性を調査した.モスクワと中央アジア6都市 (タシケント, サマルカンド, ドゥシャンベ, フルンゼ, アルマアタ, アシュハバード) のバザールで, 31系統のニンニクを収集し, 鹿児島で栽培し, 花粉母細胞の減数分裂と花粉稔性を調査した. その結果, 観察した全25系統で正常な減数分裂がみられ, さらに14系統で稔性花粉がみられた. 花粉稔性は90.3%から19.6%まで系統により異なった. また, フルンゼの1系統は稔性花粉こそ生じなかったが, 稔性花粉を授粉したところ, 多数の発芽力ある種子を生じたので, 胚珠は十分に発達しているものと認められた. この雄牲不稔系統を含めると, フルンゼ, アルマアタ両都市の収集全系統は稔性であり, アシュハバードの全系統が不稔であったのと比べ対照的であった. 発見された稔性系統は, 葉身長, 花軸長等の点で系統による変異がみられ, 中央アジアには明らかに異なるいくつかの稔性系統が存在することが認められた. これら稔性系統は, 交雑育種あるいは種子生産のための紀材として極めて重要である.ニンニクは稔性から不稔性へ, さらに完全抽だい型から不完全あるいは無抽だい型へと進化していると推定されるが, ソ連領中央アジアでも中国寄りの天山山脈北面の山麓にあるフルンゼ, アルマアタで収集された系統が全て稔性を示し, しかも現地で完全抽だい型のみが観察されたことは, 未確定のニンニク起源地を考える上で非常に興味深いものといえよう.
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