キュウリ及びクロダネカボチャの硝酸同化に及ぼす根温の影響
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概要
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低根温下での硝酸同化がキュウリとクロダネカボチャの低根温耐性に関与しているかどうかを明らかにするために, キュウリ (品種; 四葉) とクロダネカボチャの根と葉の in vivo 硝酸還元酵素活性と, 15Nでラベルした硝酸態Nの同化に及ぼす根温の影響について調べた.根温20°Cで培養した場合の根の硝酸還元酵素活性は,キュウリ, クロダネカボチャともに活性測定培地の低温によって著しく低下し, 13°Cでの活性は20°Cでの活性の約2分の1であった. 一方, 13°Cと20°Cの根温で6日間前培養したのち, 前培養根温と同一温度 (13°または20°C) で測定した場合の根の硝酸還元酵素活性には, 測定培地温度による違いは両作物ともに認められなかった. 一方, 葉の in vivo 硝酸還元酵素活性は, 前培養中の共通の気温である26°Cで測定したが, 前培養の根温によってはほとんど影響されなかった. 葉の硝酸還元酵素活性は両作物でほぼ同程度であったが, 根の活性はキユウリがクロダネカボチャよりやや高かった. しかし, 両作物ともに, 根の活性は葉の活性に比べると著しく小さかった.根温13°Cと20°Cで硝酸態15Nを2時間吸収させたのち, 15N吸収培地と同一温度の15Nを含まない培地に戻して, 照明下で8時間にわたって,吸収された15Nの同化を追跡した. 硝酸態15Nの吸収は特にキュウリにおいて低根温によって顕著に抑制された. 一方, 吸収された硝酸態15Nは両作物ともに根ではほとんど同化されず, 主として硝酸態Nの形で葉に転流した. 葉においては両根温区ともに速やかに不溶態Nに同化され, 根温の影響は認められなかった. また, 根における不溶態Nの蓄積は両作物ともに極めて少量であった.以上の実験結果から, 硝酸同化はキュウリとクロダネカボチャの低根温耐性の違いには関与していないと考えられる.
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