キュウリの初期生長と無機栄養に及ぼす高気温と高地温の影響
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概要
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Relative contributions of supraoptimal air and root-zone temteratures on the growth inhibition of cucumber (Cucumis sativus L.) during hot seasons were evaluated. Seedlings of a Chinese cultivar, Sangoh (Ji huang gua 3) and a Japanese cultivar, Sharp I were grown in water culture for 8 days in controlled environment rooms. The environmental conditions were : 26/26℃, 26/37℃, 37/26℃ or 37/37℃ daytime air/root-zone temperature regimes (air temperature in the night was 5℃ lower than that in the day), 80/90% relative air humidity, and a 15-hr photoperiod of ca. 480μmol・m<special>-2</special>・s<special>-1</special> PPFD. Temperature of leaves was approximately equal to air temperature during the daytime. Although plants thrived best at 26/26℃ and worst at 37/37℃ combinations, when growth at 26/37℃ and 37/26℃ regimes was compared, high air temperature was more inhibitory than high root-zone temperature. Root growth, leaf expansion rate, leaf water content, photosynthetic rate and leaf mineral concentrations were reduced more severely by high root-zone temperature. Seedlings of ‘Sangoh’were significantly more tolerant to high root-zone temperature than were those of ‘Sharp I'. Possible causes of growth inhibition by high air temperature compard to that by high root-zone temperature and the mechanisms of the cultivarietal difference in thermotolerance of cucumber plants are discussed. 高温によるキュウリの生育阻害が主として高気温の影響によるのか,あるいは高地温の影響によるのかを知るために,人工気象室(空気湿度80/90%,光強度480μmol・m<special>-2</special>・s<special>-1</special>, 明期15時間)に,26/26℃,26/37℃,37/26℃,37/37℃ の気温/地温条件(気温は明期の温度で,暗期は明期より5℃低い.地温は終日一定)を設定し,‘シャープI'と‘冀黄瓜三号'(中国品種)の幼植物を8日間水耕法で栽培した.明期の葉温は,両品種ともに気温とほぼ同じであり,蒸散作用による葉温低下はほとんどみられなかった.茎葉の生長は気温と地温がともに高温のときに最も強く抑制された.気温のみの高温と地温のみの高温を比較すると,根の生長,葉面積の拡大,葉の光合成速度は地温が高いときにより強く抑制され,葉の含水率や無機養分含有率も地温が高いときにのみ有意に低下した.しかし,茎葉の生長は高地温より高気温の影響を強く受けた.また,‘冀黄瓜三号’は‘シャープI’に比べて,高温,特に高地温に対する耐性が大きかった.
- 園藝學會の論文
- 1996-03-15
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