カンキツ類の樹上完熟栽培果実の障害発生と品質の経時的変化
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概要
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1.近畿大学附属農場 (和歌山県有田郡湯浅町) の平坦な丘陵畑に栽培されている98種類のカンキツについて, 樹上完熟栽培の適応を知るため, 1990年11月~翌91年6月末までの間, 可能な限り果実を樹上に着果させ, 障害の発生ならびに糖と酸の変化について調査した.<BR>2.調査期間中, 福原オレンジとシュンコウカンを除いて, すべての種類の果実に発生した障害は,す上がり-落果, す上がり-浮き皮の生理的な内的障害と霜害-落果, 霜害一腐敗の外的障害ならびに霜害-す上がり-落果の複合的障害などであった. 障害発生の時期は早熟系は晩熟系より早く発生する傾向にあり, 障害の種類は分類上の位置によって類似し, また,同じ種類であっても果皮の状態によって発生様相が異なった.<BR>3.樹上完熟栽培をしたとき, 着果期間中果実の増糖パターンから4グループに分け, 全糖含量が11%以上の高位を示す種類をAとし, 10%前後の中位を示す種類をB, 8%以下の低位を示す種類をC, 5%以下のさらに低位を示す種類をDグループとした. とりわけAに分別された宮川早生, キシュウミカンおよび高しょう系ポンカンは全糖含量が3月には15%以上となった.<BR>4.障害が発生した果実は果汁の減少と果汁中の全糖含量が減少するか, もしくは, ショ糖ブドウ糖および果糖の含有比率に変化がみられ, なかでも, ショ糖が急減した.<BR>5.以上の結果より, 早生ウンシュウミカン, 宮内伊予柑ならびに清見では, なんらかの保護手段によって外的要因による障害発生を防止できれば, 樹上完熟栽培により著しく果実品質を向上させ得ることが明らかとなった.
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