豊前行橋平野の沖積世における地形発達
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概要
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瀬戸内海西部・周防灘西岸に位置する行橋平野の地形発達を, 沖積層の内部構造と珪藻分析が示す環境変化に注目して, 明らかにした。行橋平野の沖積層は下位より最下部砂礫層, 下部砂層, 中部泥層, 上部砂層, 最上部泥層の5つの部層に区分できる。平野中北部の下部砂層下部の年代は約7,700年前を示したが, この層準からは淡水棲珪藻のみが出現する。下部砂層上部には海水棲種が含まれることから, 行橋平野のこの地点では下部砂層堆積中に海域の侵入をうけたことがわかる。中部泥層は Cyclotella striata, Melosira sulcata などの海水〜汽水棲珪藻を多産することから, この時に海進の高頂期に達し, 行橋平野の北部を中心にして広く内湾域が出現したと考えられる。中部泥層上部の年代は約4,800年前を示した。上部砂層は貝殻を含む砂からなり, 浜堤に連続することから三角州前置層として中部泥層堆積後の河川による埋立が行なわれたことを示す。海水棲珪藻は+1.8mの層準まで出現し, これが後氷期の海進の最高海面の高さを示す。しかしながら現在の潮差を考慮すると, 現在が最高海面の時期である可能性も大きい。
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