牛乳房炎における起因菌の動向とβ―ラクタマーゼ : 産生性を組合せた薬剤の選択について

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牛乳房炎の治療における抗生物質(抗生剤)選択の一助とする目的で、昭和60年9月〜62年9月までに検出された起因菌の同定や薬剤感受性検査を実施し、さらに起因菌をステージ別に区分し、併せてβ―ラクタマーゼの産生状況についても調査したところ、次の成績を得た。1)各起因菌の検出率は、230株中、ブドウ球菌が52.5%、レンサ球菌13.5%、グラム陽性桿菌9.1%、グラム陰性桿菌24.3%、真菌2.2%であり、グラム陰性菌の増加傾向が認められた。2)起因菌の薬剤感受性検査において、Sta.epi.,Sta.aure.,グラム陽性桿菌はペニシリン(PCG)に高感受性を示し、グラム陰性菌はセファゾリン(CEZ)とセフォペラゾン(CPZ)に高い感受性を示した。3)β―ラクタマーゼ産生菌は、Sta.aure.では50%、グラム陰性菌では79.4%であり、いずれも高い割合を示した。4)起因菌種をステージ別に分けたところ、慢性症例ではグラム陽性菌が82.3%で最も高く、急性症ではグラム陽性菌が71.6%、グラム陰性菌が26.5%、甚急性はグラム陰性菌80%であり、いずれも高い割合であった。以上の成績から、グラム陽性菌が極めて高率にみられる慢性症例に対しては、PCGを第一選択とし、急性症には抗菌スペクトルが広く、グラム陽性・陰性菌のどちらにも有効なCEZを選択する。甚急性に対しては、β―ラクタマーゼに対して比較的安定なCEZを選択すれば良いと思われた。

牛乳房炎における起因菌の動向とβ―ラクタマーゼ : 産生性を組合せた薬剤の選択について

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