重度失語症者の非言語的象徴障害
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概要
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重度失語症者の非言語的象徴障害を検討するために5種の非言語課題 (3種の象徴的課題と2種の空間的課題) を実施した.被験者は22名, 比較対照群は軽・中度失語群10名, 痴呆群14名であり, つぎの結果が得られた.<BR>1) 重度群は軽・中度群に比較すると象徴的課題, 空間的課題ともに劣るが, 痴呆群に比較すると象徴的課題だけが劣っていた.<BR>2) 失語群では象徴的課題と空間的課題に相関がみられた.しかし痴呆群にはこのような相関がなかった.<BR>3) 言語様式との関連をみると, 3群ともに象徴的課題は言語の理解面との相関が高く, 空間的課題は書字や計算との相関が高い傾向があった.<BR>4) 重度群の中で非言語能力が低いタイプは全失語, 重度ウェルニッケ失語, TCs, 最重度プローカー失語などであった.<BR>5) 重度群の中で非言語能力が低い失語群の言語能力は, 非言語能力が低くない群に比べて読みの理解が有意に低く, また全体的な言語能力も低かった.<BR>以上の結果にもとついて, 重度失語症者のコミュニケーションにおける非言語的手段の導入<BR>の問題に言及した.
著者
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河内 十郎
東京大学教育学部
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竹内 愛子
七沢リハビリテーション病院脳血管センター
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野中 弘
緑協和病院リハビリテーション科
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萩生 正彦
緑協和病院
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高橋 正
七沢リハビリテーション病院 脳血管センター 言語科
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竹内 愛子
七沢リハビリテーション病院脳血管センター言語科
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河内 十郎
東京大学教養学部心理学教室
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高橋 正
七沢リハビリテーション病院脳血管センター言語科
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