回転白金電極を用いるシアン酸塩の電流滴定
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概要
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シアン酸塩と硝酸銀の沈殿反応に電流滴定法を適用するために種々検討し,1%程度の誤差でシアン酸塩を定量する分析法を確立した.<BR>定量操作は次のとおりである.0.001F程度のシアン酸塩を正確にはかりとり,1F硝酸カリウム溶液10m<I>l</I>,1%ゼラチン溶液2m<I>l</I>およびメタノール25m<I>l</I>を添加し,試料が炭酸塩を含むときには,さらに1F硝酸バリウム溶液を10m<I>l</I>加えてこれを完全に沈殿させ,水を加えて全容を100m<I>l</I>にしてよく混合し,5℃以下に冷却したのち,0.1<I>N</I>硝酸銀標準溶液を滴加しながら,回転微小白金電極を指示電極,S.C.E.を対極として短絡滴定を行なう.<BR>本報告では,定量の条件として,温度,有機溶媒,支持電解質,pHならびに共存塩類の影響などについて検討した.<BR>回転白金電極を指示電極とするシアン酸塩の電流滴定法について種々検討し,次のような結果を得た.<BR>(1)0.01<I>N</I>シアン酸塩水溶液を常温で硝酸銀標準溶液によって直接滴定することは不可能であったが,5℃以下で滴定すれば3〜4%の負の誤差で定量できることがわかった.<BR>(2)シアン酸塩の中性水溶液にメタノール,エタノール,アセトンなどの有機溶媒を添加し,5℃以下の一定温度で滴定すれば,±1%の誤差で定量できることがわかった.有機溶媒の最適添加量はシアン酸塩の濃度によって異なるものと思われるが,0.01<I>N</I>程度の場合には25vol%メタノール溶液として滴定するのが適当であった.<BR>(3)滴定曲線の終点を明確にするためには,支持電解質として硝酸カリウム,硝酸バリウムなどの硝酸塩の添加が有効であるが,有機溶媒の種類と添加量に影響され終点が移動するので,これに応じて支持電解質を添加する必要がある.0.01<I>N</I>シアン酸塩の25vol%メタノール溶液を滴定する場合には,0.1F程度の濃度になるように硝酸カリウムまたは硝酸バリウムを添加するのが適当であった.<BR>(4)炭酸塩が共存するときには,過剰の硝酸バリウムを添加して沈殿させたのち滴定すれば,その影響を除くことができる.<BR>(5)亜硝酸塩または尿素が共存すれば,滴定値に負の誤差を与える傾向が認められるが,シアン酸塩に対するモル比で1:1以下の場合には1%以内の誤差であった.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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