大型野外シュートを用いた雪崩実験,その1 : 雪塊と杭の衝撃現象
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大型野外シュートを用いて行った雪塊と杭の衝撃実験から,次の解析結果を得た.<BR>(1)衝突開始から衝撃力の最初のピーク発生時までの時間は,衝突速度12m/sで2.5〜5ms,衝突速度8m/sでは7.5〜10msであった.このとき杭が雪塊の衝突面から貫入した深さは,それぞれ2〜6cm,2〜4cmとなり,速度依存性はみられなかった.(2)杭全体にかかった力積と杭通過部分の雪塊運動量との比較では,両者がほぼ同じか力積が雪塊運動量を上回るものが大半を占めた.(3)衝撃圧を流体場における抵抗圧とみた場合の抵抗係数は,最大衝撃圧で3.5,定常衝撃圧では1.1〜1.7となり,後者は受圧板の高さによって変化した.(4)衝撃圧への一次元塑性圧縮理論の適用では,衝撃圧の実測値は理論値に比べ最大値で3倍,定常値でも1.3〜1.7倍となった.(5)杭上に残された圧縮コーンの頂角は44°〜80°であり,これからモールの破壊条件を用いて,雪塊の内部摩擦係数を求めたところ,0.2〜1.0の範囲となった.(6)衝突画像から,杭貫入中の圧縮コーン周辺に粉砕雪の流れがあることが確認された.
著者
-
沼野 夏生
防災科学技術研究所 新庄雪氷防災研究支所
-
佐藤 篤司
防災科学技術研 雪氷防災研究セ
-
阿部 修
防災科学技術研
-
中村 秀臣
同気圏・水圏地球科学技術研究部海気相互作用研究室
-
中村 勉
同長岡雪氷防災実験研究所
-
佐藤 篤司
防災科学技術研究所新庄雪氷防災研究支所
関連論文
- 安全な雪国の暮らしのために--これからの技術開発の方向を考える (特集 雪国の安全確保に向けた技術開発)
- P325 吹雪予測モデルのための気象数値予測における粗度と風速について
- 山形県新庄市における降雪の化学組成の特徴および酸性雪の経年変化(1991/92年-2002/03年)
- 防災科学技術研究所における道路雪氷研究
- 2000年12月26日山形県立川町で発生した雪崩災害の調査報告
- 平成18年豪雪における東北地方の降積雪状況と雪氷災害
- 「雪氷防災研究の将来を考える集まり」の報告
- 大型建築物における屋根雪観測、その5 : 積もり係数の風速・温度依存性
- 大型建築物における屋根雪観測、その4 : 1998/99年-2002/03年5冬期の積雪深変化
- 2007年2月-4月に発生した雪崩事故状況調査報告
- 昭和基地管理棟後流域建物周辺の吹きだまり観測と 人工雪を用いた風洞模型実験
- 減災戦略としてのコミュニティ共助とそのツール「除雪支援マップ」の試作について
- 20021 各種屋根形状における屋根面の風圧分布と積雪の偏分布との関係(雪荷重(1),構造I)
- 2007年2月14日に八甲田山系前岳で発生した雪崩
- 寒冷な環境から見たコンクリート
- International Snow Science Workshop 2000 参加報告
- 「固体降水量評価に関する研究会」の報告
- P422 高分解能降雪強度観測によるZe変動の評価(ポスターセッション)
- B101 長岡周辺の降雪予測実験とレーダー・地上観測の比較 : 2008年2月の事例(降水システムI)
- B407 雪雲上陸時の降水強度変化とその再現性(雲物理)
- P379 新潟、北陸地域の降雪分布の特徴
- P180 雪雲の種類別に見た2005年12月の降水分布特性
- CIP法による雪崩の再現解析
- 新しい雪崩情報提供の試み : 新潟県内での雪崩危険箇所ならびに雪崩発生危険度の情報活用
- 雪氷災害の最近の変動傾向について
- 雪氷災害の発生を予測する
- 雪氷災害発生予測システムの構築
- 2004年冬の新潟県における融雪災害とその時の積雪循環曲線
- 樹氷の熱に関する研究
- ニセコアンヌプリ積雪調査 (1978年)
- 平成18年豪雪-概要
- 降水量計を改良した霧水量測定の試み
- 防災科研における災害予測プロジェクト研究の紹介
- 学術賞を受賞して
- 山形蔵王における着氷雪現象と積雪の観測
- 雪氷と地球環境 : 大気と雪氷の相互作用研究事始め
- モンタナ滞在記
- モデル積雪の微細構造と有効熱伝導率
- 積雪中の熱と水分子の移動
- D454 北極における陸面水循環過程のモデリング(陸面過程,雪氷圏と気候,専門分科会)
- 雪国とエコロジー
- 津軽平野における冬期気象観測資料(1986.12〜1993.3)
- 極域気候変動に関する第2回和達国際会議の報告
- 新庄における新積雪の密度と結晶形(1974/75年〜1985/86年12冬期)
- 新庄雪氷防災研究支所における降積雪観測(1984/85年〜1994/95年11冬期)
- 大型野外シュートを用いた雪崩実験,その3 : 低密度雪塊の衝撃波形予測
- 大型野外シュートを用いた雪崩実験, その2 -雪塊の衝撃特性-
- 6095 定住促進型住宅地の追跡調査 : 入居状況と居住者属性に注目して(地域社会の構造と定住,農村計画)
- 大型建築物の屋根雪観測, その3 - 積もり係数の温度依存性 -
- 大型建築物の屋根雪観測, その2 - 積もり係数の温度依存性 -
- 大型建築物の屋根雪観測, その1 -風速特性と積もり係数-
- 20036 二段屋根建築物の屋根上積雪性状に関する実験的研究(積載・積雪荷重,構造I)
- 冬期居住施設の利用実態と今後の方向 : 豪雪地帯における安心安全な地域づくりに関する調査報告その9
- B-1 地方圏におけるNPOの地域活動にみる圏域性に関する研究 : その1 地域構造性と主体的活動との関係(計画I)
- 市民活動団体の地域活動にみる圏域性と市町村合併による影響に関する研究
- 7357 地方中核都市の既成市街地における新規高層マンションの建設動向 : 山形県山形市を対象として(まちなか居住,都市計画)
- 6051 岩手県における商業構造特性からみた市町村の類型化について(自治組織・コミュニティネットワーク,農村計画)
- 6084 市町村合併による行政圏域の変更が地域活動に与える影響に関する研究 : 市民活動団体の活動・協働にみる生活圏構成(選抜梗概,市町村合併と集落再編,農村計画)
- 屋根雪処理事故の実態分析 : 「平成18年豪雪」における山形県内の事故事例調査から
- 佐々木嘉彦先生を偲ぶ
- 雪害の変化とその社会的背景
- 6004 積雪地域における縁辺集落の再編動向と定住条件 : その3 特異な戸数増減傾向を示した集落の追跡調査
- 高床住宅の普及と雪氷防災
- 8040 積雪地域における高床住宅 : その1 居住者へのアンケート調査からみた新築高床住宅の地域比較(1)
- 8051 積雪地域における高床住宅の普及とその地域的分布特性(建築経済・住宅問題)
- 農村の地域生活と地方小都市(農村計画部門研究協議会 : 農村計画からみた地方中小都市研究の課題)(1991年度日本建築学会大会(東北))
- 『克雪住宅』を考える
- 6024 積雪地域における緑辺集落の再編動向と定住条件 : その2 特異な戸数増減傾向を示す集落の検討
- 住民主体のまちづくり支援に向けた地域資源発掘手法の開発研究--山形県新庄市における「町内の宝物」の調査について
- 画像処理手法を用いた自動観測による降雪粒子の同定について : その2 長岡で観測された降雪粒子と自動観測による検出手法の検証
- 画像処理手法を用いた自動観測による降雪粒子の同定について : その1 粒径および落下速度計測の画像解析手法について
- 雪崩
- 9.雪氷研究最前線
- 球をモデルとした雪氷研究
- 生活環境 雪国の高齢者の生活の現状と対策
- 雪国の住宅改善と今和次郎 (features 今和次郎と吉阪隆正--師弟のまなざしと青森の都市・農村・雪) -- (今和次郎のまなざしと吉阪隆正が受け継いだもの 雪)
- 平成18年豪雪
- 平成18年豪雪の被害 (2005/06年 日本の寒冬・豪雪) -- (平成18年豪雪)
- 中越地震後の2005豪雪による雪崩
- 吹雪粒子の帯電に湿度が及ぼす影響について(序報)
- 地域における圏域の実態とその長期的推移に関する基礎的研究 : 通勤・通学と購買行動に着目して
- 大雪山「雪壁雪渓」の融雪に関する熱収支特性
- 大雪山「雪壁雪渓」の長期消耗過程
- 企画セッション「ムペンバ現象(湯と水凍結逆転現象)のサイエンス2010」報告
- 国際雪氷学会シンポジウム "International Symposium on Snow, Ice and Humanity in a Changing Climate" 開催報告
- 小さな国の多様な雪
- C-22 景観計画の実態に関する研究 : 都市規模と地方圏の違いを指標として(計画IV)
- 吹雪粒子の帯電と跳躍回数に関する風洞実験
- 大型野外シュートを用いた雪崩実験,その1 : 雪塊と杭の衝撃現象
- 人身雪害の年次推移とその社会的背景 : 山形県、新潟県の地方新聞(1956年~89年冬期)による統計をもとに
- ムペンバ現象の検証実験
- 国の豪雪地帯対策の動向
- 吹雪時の大気電場の形成に関する考察
- 新庄における1995/96年冬期の気象積雪観測
- 新庄の平地における積雪断面観測結果(1988/89年〜1994/95年7冬期)
- 国際雪氷学会シンポジウム"International Symposium on Seasonal Snow and Ice 2012"参加報告
- A-13 昭和三陸津波による集団移転計画地の実態と今次津波による被災状況について(計画III)
- 6041 広域的な震災復興の支援拠点の形成に関する研究 : その1 岩手県遠野市におけるケーススタディ(選抜梗概,震災復興,オーガナイズドセッション,農村計画,2012年度大会(東海)学術講演会・建築デザイン発表会)
- 雪と共に生きる先人の知恵
- 功績賞を受賞して