不整脈の誘発および病因診断における運動負荷試験の意義
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概要
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運動負荷試験が,不整脈の誘発およびその病因診断において,どの程度の有用性をもつかを, treadmi11亜最大運動負荷試験を行なつた1148人を対象として調べた.運動負荷により93人で心室期外収縮, 4人で心室頻拍, 50人で上室期外取縮, 3人で心房細動が誘発された.心室期外収縮の出現頻度,左室源性の心室期外収縮の出現頻度は負荷試験陽性群で多かつたが,心室期外収縮出現時の心拍数には負荷試験陽性群と陰性群で差はなかつた.心室期外収縮以外の不整脈の出現頻度と運動負荷試験の結果には,明らかな関係はなかつた.すでに発作の確認されている頻拍発作症例で,運動により,その頻拍発作が再現されたものは,発作性心室頻拍例4人中2人,発作性心房細動例11人中2人であり,発作性上室頻拍は誘発されなかつた.負荷前の洞頻度が毎分60未満で,かつ運動中の心拍数が毎分120に達しなかつた20例のうち3例のみが,洞不全症候群症例であつた.また,洞不全症候群症例において,運動中の心拍数が目標心拍数に達したものと,達しなかつたものとでは,長時間心電図上の最大RR間隔,右房高頻度刺激後の洞自動能回復時間に差はなかつた.以上より,運動負荷試験は,不整脈の病因診断,頻拍発作例での不整脈誘発法として限界があり,洞不全症候群の診断法としては有用でないと思われた.
著者
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杉本 恒明
富山医科薬科大学
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余川 茂
富山医科薬科大学
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井内 和幸
富山医科薬科大学
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能沢 孝
富山医科薬科大学医学部第二内科
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能沢 孝
富山医科薬科大学 第2内科
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浦岡 忠夫
富山医科薬科大学
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秋山 真
富山医科薬科大学
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浦岡 忠夫
富山医科薬科大学医学部第二内科
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井内 和幸
富山医科薬科大学医学部第二内科
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秋山 真
富山医科薬科大学医学部第二内科
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余川 茂
富山医科薬科大学医学部第二内科
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