重症筋無力症に全身性紅斑性狼瘡と潜在性副甲状腺機能低下症が合併した1症例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
重症筋無力症(MG),全身性紅斑性狼瘡(SLE),潜在性副甲状腺機能低下症(HP)の合併した1例を報告した.症例は35才,女性で, 14年前に複視,眼瞼下垂,四肢筋の易疲労性で発症し,テンシロン試験陽性,誘発筋電図でwaningを示した全身型MGで,抗コリンエステラーゼ剤で治療していた. 5年前に関節痛が出現したが,自然に消失した.昭和55年10月胸痛出現,胸部X線像で滲出性肋膜炎と診断され入院した.理学的には,複視,眼瞼下垂,近位筋の筋力低下があつた.検査所見で,血沈の亢進,白血球数の減少, LE細胞陽性,抗核抗体・抗ds DNA抗体陽性,血清補体の低下, T細胞の相対的・絶対的減少, PHAによるリンパ球幼若化率の低下が見られた.血清Ca (8.5〜9.0mg/dl)は低く,血清P (4.5〜4.6mg/dl)は一過性に上昇した.藤田らの方法に従つたEDTAによる副甲状腺ホルモン分泌試験では,血清Caの低下が著しく,回復遅延を示し,さらにcPTH (ヒト)の変動がほとんどなく,副甲状腺ホルモン分泌係数(PI),副甲状腺分泌刺激係数(PSI)はおのおの0.031, 1.17と著しく低下していた.ビタミンD3, 25OHD3は正常であつた.胸腺腫はなかつた. MGとSLEの合併は比較的少なく,本邦では今迄4例が報告されている. MGとHPの合併は極めてまれで,現在まで2例しか報告されていない. 3者の合併した報告例は,私共が調べた限り今迄になく,本例が初めてであり,興味あるものとして報告した.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
-
八木 温子
群馬大学医学部第二内科
-
吉田 忠義
群馬大学医学部第二内科
-
石橋 浩明
群馬大学医学部第二内科
-
安里 洋
群馬大学医学部第二内科
-
長谷川 誠
群馬大学医学部第二内科
-
古谷 雅子
群馬大学医学部第二内科
-
吉田 忠義
群馬大学医学部第2内科
-
安里 洋
群馬大学医学部第2内科
関連論文
- 硝酸イソソルビド投与時の血清一酸化窒素代謝物濃度 : 口述発表 : 第57回日本循環器学会学術集会
- ドパストンSE : L-Dopaとの比較
- 特発性起立性低血圧の1症例特に循環動態,神経薬物的および生化学的検討
- くも膜下出血に合併した心室細動の1症例
- 誘発脳波の臨床的研究
- うつ血型心筋症,末梢神経障害,頭部CT異常,難聴,失調性歩行,眼筋麻痺などの多彩な症状を呈したoculocraniosomaticneuromusculardiseasewithraggedredfibers(acsNM)の1症例
- 重症筋無力症に全身性紅斑性狼瘡と潜在性副甲状腺機能低下症が合併した1症例
- 著明な骨変化を伴う偽性副甲状腺機能低下症II型に抗てんかん薬による甲状腺機能低下症が合併した1症例
- 難聴を伴う遺伝性腎炎(Alport症候群)の1家系
- 皮膚色素沈着,剛毛,浮腫,うつ血乳頭を合併した多発性ニューロパチー : 一般生化学的,内分泌学的,免疫学的および末梢神経の組織学的検討
- ミオグロビン尿症による急性腎不全を呈したalcoholic myopathyの1症例
- 心房細動・脳塞栓症を合併した三心房心の1例本邦における最高令例の報告
- Does the angiotension converting enzyme inhibitor increase incidence rates of a cold ?
- 色素沈着・剛毛・浮腫・入型IgAの増量を呈した多発性神経炎の1症例における内分泌機能異常